tinc さんの日記
2020
4月
18
(土)
17:14
本文
今日の午前中は私が以前雇用されていて数年前に解散した会社の元関係者たちと、ネット回線を通じて話をしていた。当時の社長をはじめ重役だった人々や、私の直属の上司だった人の親族もいて、私を含め8人が参加した。私以外は飲酒しながら、当時のそれぞれ印象に残っている出来事や人物のこと、現在営んでいる事業のことなど楽しそうに話をしていた。私はだいたい黙っていた。すると元社長が突然私に呼びかけ、「お前は相変わらず何を考えてるかわからんな」と言った。他の人たちはひと笑いした後、口々に当時の私にまつわる話をした。
曰く私は彼らから、当時の営業要員の中で突出した存在であると見なされていたらしい。新規の契約が多く、それが継続する傾向が強く、受注あたりの金額も高い。長髪で顔色が暗くてぼそぼそ喋るのに悪い印象を聞かない。苛烈な上司の下でよくやっていた。そういうことだったそうだ。
私は自分が他の誰かと取り違えられているように思った。在職中に自分の成績を聞いたことはなかったし、給与が振り込まれた時に歩合の部分が多いと思っても他の人はもっと受け取っていると思っていた。営業部の男性で長髪だったのは私だけだったように憶えているが定かでない。上司は確かによく怒鳴る人であったが、よく泣く人でもあったので、苛烈という言葉のみでは表現が十分でないだろう。
過去の私についての話の後、元社長は現在彼が手掛けている事業に私を誘った。私は辞退の意向を伝え、富裕な彼から見た私が未だに従順で割のいい手駒に過ぎないこと、おだてればその気になると思われていること、彼らの私に関する話も嘘だろうということ、私自身がお金と身分のない今の暮らしの方を当時のそれよりも気に入っていることなど、色々なことを頭の中で思った。元社長は「まあ考えておいてくれ」と言った後、新型ウイルス感染症に係る現政権の対応への批判に話を切り替え、他の人たちもそのことで盛り上がった。
このオンラインでの会合が終わる頃には昼過ぎになっていて、私は洗濯と掃除をしてシャワーを浴び、雨音を聞きながら少し眠り込んだ。目が覚めたら夕方で雨は止んでいた。煙草を吸い、ずいぶん早い粗末な夕食を終えて現在に至っている。
私は鼻先にかかるくらい伸びてきた自分の前髪や、強者の悪を描いた小説の文庫本や、裾の破れているジーンズや、爪先にスチールの入った底の厚いブーツなどをありがたく感じた。つまり今日話した彼らが良しとしないであろう物たちである。あまりに汲々として生き延びなければならないのは確かに困る。しかし余裕に満ちていても自分の欲しくない物や好きでない人たちに囲まれて生き続けるのもまた、ごめんこうむりたい。
私の持っているわりと基本的な考えに、あらゆる資源はその利用の目的が定まらないと無限に必要になるというものがある。何をしたいかが分かっていなければ、お金も時間もいくらあっても足りず、浪費して後悔して、それでおしまい。だいたいの人は私より賢いから私ほど多くはないにしても、経験したことのある人も結構いるのではと思う。
今日の会合は時間の浪費だった。私よ、いい加減に学びたまえ。
曰く私は彼らから、当時の営業要員の中で突出した存在であると見なされていたらしい。新規の契約が多く、それが継続する傾向が強く、受注あたりの金額も高い。長髪で顔色が暗くてぼそぼそ喋るのに悪い印象を聞かない。苛烈な上司の下でよくやっていた。そういうことだったそうだ。
私は自分が他の誰かと取り違えられているように思った。在職中に自分の成績を聞いたことはなかったし、給与が振り込まれた時に歩合の部分が多いと思っても他の人はもっと受け取っていると思っていた。営業部の男性で長髪だったのは私だけだったように憶えているが定かでない。上司は確かによく怒鳴る人であったが、よく泣く人でもあったので、苛烈という言葉のみでは表現が十分でないだろう。
過去の私についての話の後、元社長は現在彼が手掛けている事業に私を誘った。私は辞退の意向を伝え、富裕な彼から見た私が未だに従順で割のいい手駒に過ぎないこと、おだてればその気になると思われていること、彼らの私に関する話も嘘だろうということ、私自身がお金と身分のない今の暮らしの方を当時のそれよりも気に入っていることなど、色々なことを頭の中で思った。元社長は「まあ考えておいてくれ」と言った後、新型ウイルス感染症に係る現政権の対応への批判に話を切り替え、他の人たちもそのことで盛り上がった。
このオンラインでの会合が終わる頃には昼過ぎになっていて、私は洗濯と掃除をしてシャワーを浴び、雨音を聞きながら少し眠り込んだ。目が覚めたら夕方で雨は止んでいた。煙草を吸い、ずいぶん早い粗末な夕食を終えて現在に至っている。
私は鼻先にかかるくらい伸びてきた自分の前髪や、強者の悪を描いた小説の文庫本や、裾の破れているジーンズや、爪先にスチールの入った底の厚いブーツなどをありがたく感じた。つまり今日話した彼らが良しとしないであろう物たちである。あまりに汲々として生き延びなければならないのは確かに困る。しかし余裕に満ちていても自分の欲しくない物や好きでない人たちに囲まれて生き続けるのもまた、ごめんこうむりたい。
私の持っているわりと基本的な考えに、あらゆる資源はその利用の目的が定まらないと無限に必要になるというものがある。何をしたいかが分かっていなければ、お金も時間もいくらあっても足りず、浪費して後悔して、それでおしまい。だいたいの人は私より賢いから私ほど多くはないにしても、経験したことのある人も結構いるのではと思う。
今日の会合は時間の浪費だった。私よ、いい加減に学びたまえ。
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