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アメリカの科学誌「サイエンス」やイギリスの科学誌「ネイチャー」、普通は絶対に政治的なことには関与しない、しかも権威のある科学誌が、菅政権の日本学術会議の任命拒否について、「政治が学問の自由を脅かしている」と記事にしているそうです。
日本の政治は、世界からどんどんやばい国に思われつつあります。このままでは、学問の世界で、日本は相手にされなくなる可能性さえあります。
安倍政権、菅政権となんでも政権の意のままになる、反対する者は排除という全体主義的な政治に向かっているのが怖いです。
最近の小説で、桐野夏生さんの「日没」が話題になっています。いまのこの状況に、警鐘を鳴らす作品になるかもしれませんので、新聞のコラム「大波小波」から引用します：

「日没」の根拠　ｂｙ　アリョーシャ

日本学術会議が推薦した６人の学者を首相が任命拒否した事は、学問の自由を脅かす許しがたい行為だ。最近の社会風潮は異論を排除し、表現の自由を束縛する事象が目立つ。その折、桐野夏生の最新作「日没」（岩波書店）は、不穏で閉塞感が漂う現代の息苦しさを敏感に感知した極めて刺激的な小説だ。
政府機関から小説家に届いた召喚状。出頭すると彼女は拘束され、「社会に適応した小説を書く」ための療養所に収容される。読者から政府機関へのメールで、彼女の書いた小説は暴力的で猥褻、反社会的との指摘があったらしい。彼女の抗議は圧殺される。
強固な全体主義による民衆支配はわかりやすい。しかし民主主義を標榜する国家でも、柔らかな締め付けは進行する。権力の本質は「規制」と「束縛」だ。怖いのは民衆が自分で進んで自由を権力に差し出すことであり、読者の批判をテコに圧力を加える権力の隠された意図。ドストエフスキーは「カラマーゾフの兄弟」の中で、人々はパンを得るために自由を売り渡しす、と暗示的な話を書いた。「大審問官」の箇所である。桐野の不穏さの根拠である。この桐野の渾身の作に小生らはどう応えるのか。文学の課題は実に重い。
＜引用以上＞

こう書くと、ブロックした人が読むと、ぐだぐだ「批判」してくるのだろう。アメリカでもトランプ支持者は半トランプ派の人への攻撃をやめない。価値観の違いは大きい。
もともと奴隷的に権力に盲従するほうが楽だと考える人は、責任を伴う自由になるよりも奴隷的に隷属するほうを好み、選択すると思う。
もちろんリーダーにも責任はあるが、隷属を選ぶ人にも大きな責任がある。ナチスドイツのときのように。