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小さな会社に勤めていたとき
何度か一人で香港出張したが(←激安ツアーで）社長と一緒のこともあった。

当時の香港と言えば、尖沙咀の通りを歩けば１００メートルごとに「偽物ドケ。偽物ヴィトン。本物そっくり」と背後から、またはすれ違いざまに声をかけられた。

社長は「どれ、見せてくれ」とついて行くことがあった。成金（←蔑称だが、自認していた）で本物をばんばん買っていたが、どれほど精巧かに興味があり、商売につなげようとしていたから。


私は違法に加担したくないので同行せずに
「糖朝」か「許留山」でスイカジュースを飲んで待っていた。スイカジュース、まさに飲むスイカといった感じで濃厚でおいしく、それでいて食事に差し支えない。
ときどき日本でも見かけるが、変にあっさりしているし、高いので普通にスイカを買った方がよい。

じっとりと汗をかく季節になって、あのスイカジュースが懐かしい。
そしていかさま野郎が横行していたあの香港も。

ところで、本当に欲しいものが手に入らないとき、どうするか？

ある人にとっては「精巧なコピー商品」が選択肢だろう。
私は「格段に手頃な、次に欲しいもの」で妥協してしまうことが多かった。

そして、後悔する

セカンドベストは所詮セカンドベスト。
やはりベストへの渇望は変わらない。
最近はこの悪しき習慣だけは断ち切るようになった。

清水の舞台から飛び降りるつもりで本当に欲しいものを買うか
すっぱり諦めるか、この二択である。