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既に逝ってしまった、私が友と呼びたい面々がいる。
8年前にある人からの突然の電話に、その時仕事をしていた私は出なかった。その人はその電話の直後にベランダから飛び降りて命を絶った。
12年前にかつての同級生が首にロープを結んで亡くなった。ロープとともに昔に私の贈ったネックレスが掛かっていたという。
私に数学への熱狂をもたらした、天寿を全うするように去った人。
子どもの私とよく遊んでくれた犬や猫、動物たち。
いつか枯らしてしまった花。

彼らが一同に会したかのような夢を見て今朝私は目を覚ました。呆然と穏やかな気持ちに浸りながら、もしかして誰か忘れていないかと思い返した。そしてそれは思い上がりかとも思った。来てくれる気のある者だけが訪れてくれたのだろう。
私は霊魂や神や死後の世界、その他形而上のものについては在るとも無いとも思わない。ただみんなが訪れてくれたように感じるのみである。

外へ出ると雨であった。姉は両親には関わりたくないと言うので、月に一度の両親それぞれへの様子伺いの電話は外でする。両者共に変わり無しとのことであった。
部屋へ戻って、かつてある人から受け継いだロザリオを眺めた。信仰は無い。しかしこのロザリオが転機となったことを思い出す。

ベランダへ出て煙草を吸うと、煙草を吸うまでもなく気分が落ち着いていることに気づいた。
私など取るに足らない。それでも何の理由も無く平穏であってもよい。そのことを示してくれるかのような夢であったと思う。