tinc さんの日記
2020
10月
22
(木)
00:16
本文
昨日は天気が良かったこともあり、姉から命じられて姉の靴の手入れをしていた。姉は私と同じく靴をそれなりに好きであると言うが扱いにはあまり気をつけないのか気をつける時間的な余裕が無いのか、踵を踏んでしまって型崩れを来しているものや黴の生じているもの、クリームを塗り込んだ形跡があるがクリームの量が多すぎたのか革の表面に白く固まってしまっているもの等手入れするべき箇所の異なる靴がなかなかの足数揃っていて、朝から夕方までかかる仕事になった。
私は靴を好きとはいっても全くの素人である。ふだん手に取って見る機会の殆ど無い女性靴を様子を見ながらこわごわ手入れするのはとても楽しかった。多くは衣類と同じで強度を犠牲にして美麗な外見や軽さを追求している。修理を前提としていないものも多い。どれくらい目の細かい布にどれくらいの量のクリームあるいはオイルを塗布して、どれくらいの力加減で塗り込むのがよいのか等ということは私が専ら履くワークブーツとは全く異なるようだった。弱い力は強い力よりも扱いが難しいこともあるのだ。
夜になって帰宅した姉はラックに並んだ靴を見て「おお、綺麗になってる!」と声を上げた。私は姉に何足かは修理店へ持ち込んでトップリフト(靴の踵の最下部、直接地面に接する部分)を交換したほうが良いと思われること、何足かはおそらくサイズが合っていないので安いものでよいから中敷きを入れたほうが良さそうであること、短靴を履く時でも座って靴紐を解いてから履くかせめて靴べらを使うのが推奨されること、また水分を箱に蓄えるタイプの除湿剤をラック上部に置くのは危険であること(もし中身が零れてその液体が靴に触れた場合、液体の成分で革が不可逆的に変質して修理不可能になるため)等を伝えた。
「さすが靴オタク」と姉は笑った。「勉強になる。明日になったら絶対忘れてるけど」
私は夕食の間やその後の洗い物や入浴の間も、初めて触れた靴の数々を興味深く思い出していた。そして革の性質や扱い方についてもっと学びたいと思った。
英語のwalk in one's shoes(他人の靴で歩く)という言い回しは他人に倣って何かをするという意味であり、その人の一挙手一投足を写すことでその人のようになれるという趣旨でも使われるし、あるいは無理に他人の真似をするという使い方もされると記憶している。いずれにせよ靴はそれほど履く人を映すということなのだろう。私は靴を好きとはいえ靴は人なりとまでは思わないが、他人の靴を鏡に自分を見る日となった。
私は靴を好きとはいっても全くの素人である。ふだん手に取って見る機会の殆ど無い女性靴を様子を見ながらこわごわ手入れするのはとても楽しかった。多くは衣類と同じで強度を犠牲にして美麗な外見や軽さを追求している。修理を前提としていないものも多い。どれくらい目の細かい布にどれくらいの量のクリームあるいはオイルを塗布して、どれくらいの力加減で塗り込むのがよいのか等ということは私が専ら履くワークブーツとは全く異なるようだった。弱い力は強い力よりも扱いが難しいこともあるのだ。
夜になって帰宅した姉はラックに並んだ靴を見て「おお、綺麗になってる!」と声を上げた。私は姉に何足かは修理店へ持ち込んでトップリフト(靴の踵の最下部、直接地面に接する部分)を交換したほうが良いと思われること、何足かはおそらくサイズが合っていないので安いものでよいから中敷きを入れたほうが良さそうであること、短靴を履く時でも座って靴紐を解いてから履くかせめて靴べらを使うのが推奨されること、また水分を箱に蓄えるタイプの除湿剤をラック上部に置くのは危険であること(もし中身が零れてその液体が靴に触れた場合、液体の成分で革が不可逆的に変質して修理不可能になるため)等を伝えた。
「さすが靴オタク」と姉は笑った。「勉強になる。明日になったら絶対忘れてるけど」
私は夕食の間やその後の洗い物や入浴の間も、初めて触れた靴の数々を興味深く思い出していた。そして革の性質や扱い方についてもっと学びたいと思った。
英語のwalk in one's shoes(他人の靴で歩く)という言い回しは他人に倣って何かをするという意味であり、その人の一挙手一投足を写すことでその人のようになれるという趣旨でも使われるし、あるいは無理に他人の真似をするという使い方もされると記憶している。いずれにせよ靴はそれほど履く人を映すということなのだろう。私は靴を好きとはいえ靴は人なりとまでは思わないが、他人の靴を鏡に自分を見る日となった。
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