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昭和37年（1962年）に公開された「秋津温泉」は、岡田茉莉子が29才の時の作品でした。「岡田茉莉子・映画出演100本記念作品」として自らプロデュースし、監督は夫の吉田喜重です。原作著者の藤原氏は、少年期に戦時疎開先であった岡山県の「奥津温泉」出身です。映画のロケ先も、ヒロインの営む温泉地は奥津温泉。映画題名は奥と秋を変えただけですね。

作品は大ヒットし、多くの映画賞を獲得しました。しかし「キネマ旬報」の評価は辛くベスト9位に留まる。原因は長門裕之が演ずる、身勝手で自殺願望の男役が下手クソ過ぎた。完全なミスマッチ。この役どころは「木村功」だろう。当時、彼は津島恵子と近代映画社の「足摺岬」に取り組んでいました。

ストーリー展開は、17年間も二人の愛を深め、5度に亘ってヒロインを尋ねて来る「煮え切れない身勝手な男」と、「一途な女」の間に悲劇が生じる。
最終場面、男は「おれと死んでくれ」と。女は「心中？」と笑って、独り川に向かう。河原に桜花が散ってましたから今頃の季節でしょう。

1957年3月に岡田茉莉子はフリーとなり、同年の3月に松竹と専属契約を結びます。女性映画を得意とする松竹ではメロドラマの主演し、先に東宝から松竹に移籍していた有馬稲子と共に松竹の二枚看板として大活躍しました。
その後も、小津安二郎や木下恵介ら巨匠に愛され、戦後日本映画史の中で力強く生き抜いた女優として活躍されました。

現在、彼女は87才ですが、映画・演劇・TVのプロデュサーとして活躍されてます。思ったことは、はっきりと口にする性格で知られ、近年のTVインタビューでも、「最近の若い女優さんについてどう思われますか？」という質問に、『あの方たちは女優じゃありません。タレントさんです。』と発言してました。

［画像①②③④］秋津温泉
製作に加わった名たるスタッフ。撮影は成島東一郎。「古都」「暖春」「戦場のメリークリスマス」などがあります。
音楽は日本を代表する作曲家・林 光（はやし ひかる）。管弦楽作品、舞台・オペラ・映画作品。
［画像⑤］
小津作品「秋日和」に出演。左に司葉子、中央に岡田茉莉子、右に原節子
［画像⑥］女優から嫌われた東宝
作品「藝者小夏」に主演を務めた岡田茉莉子。ポスターに「おののいている未熟な乳房」と、宣伝コピー。ロマンポルノか？

映画「秋津温泉」1時間55分（早送り可能）
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https://www.youtube.com/watch?v=Kd7Mkv3uKFM