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恋をしていた、のだろうか
中学2年生の頃。
相手はサッカー部の主将で、放送委員会の委員長…当時私は、放送委員だった。

陰からでも彼の姿を見たくて、3年生の教室の前をｳﾛｳﾛしてたら
彼のクラスの時間割りを、友人たちが調べてきてくれた。
これで移動教室の時には、姿が見られる。

思いがけず、彼の教室の(隣の)クラスの女子が、私がたまたま居なかった2年の教室に来て
「しきさんてどの人？どんな人なの？」
と聞いていったよ？と友人に言われた。

何て答えた？と聞いたら
「どんな人か、よく知りません」と、答えたという。
何をしたの〜？
いや…私が目と鼻についたらしい。

その後、隣のクラスの男子一同より、とのラブレターもどきの手紙を貰ったので、先輩女子たちは私を、偵察に来たのだと思う。

移動教室の時に、彼等がたむろしていたり　(男も女も同じことをする)
帰り道では、少し間をあけてついて来られたり
他に好きな人がいた私には迷惑千万で、三年生のクラスにも行き難くなった。

愛想良くするのが面倒くさくなった私は、彼等から何度目かに貰った手紙を、お手紙当番の人の目の前でゴミ箱に捨てた。
それ以後、一度の苦情の手紙を最後に、彼等はパッタリと私の周りから居なくなった。
受験勉強の始まる時期だったから、もあったかもしれない。

私も彼等や、好きだった人の事はきれいさっぱり忘れた。
恋に恋するお年頃女子の感情は、常に呆気なく変わり、何て事なく新3年生を迎える事になった。

卒業式の日
彼には私の一学年下に、彼女がいたことを知った。
感情は少しも動かなかった。

その23年後、PTAの役員会で彼と再会した。
彼は私が自分に憧れていたことを十分に知っていたし、その後、デートにも誘われたが、丁重にお断りした。
彼は中学時代の彼女と結婚していた。
相変わらず、良い人だった。

まさか私が断るなんて、彼は想像もしてなかっただろう

と思って、可笑しかった。