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古典的宗教と違ったイメージで心霊やその他の超越的な存在を想定する世界観、いわゆるスピリチュアリズムを奉じる人と不思議に縁がある。大学を中退して最初に勤務した会社の先輩、以前住んでいた家の近所のバーの店員、公園でよく会うので話すようになった人、昨夜再会した高校の同級生。
その人たちは私の知る限り相互に無関係だし、私はスピリチュアリズムを肯定も否定もしていない。ということは、スピリチュアリズムに依る人は私が無意識に思うより多いだけであって私に縁があるという捉え方が誤っているのかもしれない。平均的な世界観と並べて見ると著しく特徴的な点が多くて目立つので印象に残りがちなのだろうか。

ともあれ、私は昨夜高校の同級生と再会した。彼女は私の通っていた地方の私立高校から日本最難関の国立大学の法学部へ進学した末に司法試験に合格した後、思うところがあったとのことで別の大学の文学部に入って哲学を学び、今もその方面の研究をしているという変わった人である。先日私がメールアドレスの変更を連絡した際に返信をくれた人が何人かいて、彼女はその一人だった。私がパートの仕事を退勤した後、二人で待ち合わせてお茶を飲んだ。

奇妙な会話となった。私には昨日ブログにも書かせて頂いた、発達障害を感じさせる見知らぬ人のことくらいしか話題がなかった。一方彼女の方は結婚と離婚を経験していたり海外旅行を繰り返していたり、話題はあるはずなのにそういう事項は表面的な短い話で終わった。彼女が時間をかけて話したのは霊魂や転生や宇宙に流れる超越的エネルギーのことで、私はただ困惑しながらその内容を理解しようと必死に聞いた。結局私は理解せず、「全然わからない」とだけ言った。彼女は「だろうね」と言って笑っていた。しかし来週また会う約束をして別れた。

終電で帰りながら私は彼女の話を反芻したものの、理解が及ばないので記憶も曖昧だった。一夜明けた今となっては更に曖昧である。彼女は立身出世も安定した生活も手に入れられたであろうにそれを自分から捨てた。世間のよしとする形に定着することができるのにそれをしたくない彼女と、そもそもそれができない私は、結果として同じく定着しない状態で同じテーブルを挟んで同じ紅茶と同じケーキを消費した。まったく異なる理屈を積み重ねた結果同じ結論に到達するということがあるように、あまりにも違う人間同士の歩む道がしばらくの間交わるということもあるだろう。私には霊魂や超自然のことは理解できないが、楽しかったので彼女には感謝している。