40代・50代・60代・70代の友達作り・趣味探し・交流サイト

銀杏の街路樹の下を歩く。
空は曇り、細い小雨が音もなく降っている。
傘に触れる雨粒は、季節の終わりを確かめるようにやさしい。

歩道には、黄金色の落ち葉。
つい昨日まで枝に揺れていた銀杏たちが、
役目を終えて、静かに地面に身を横たえている。
濡れた葉は少し色を深め、
街の灰色に、確かな秋を差し込んでいた。

小雨は、急ぐ人の足音を丸くする。
コートの裾、濡れた靴先、信号待ちの沈黙。
誰もが少しだけ足を緩め、
無意識のうちに、落ち葉を避けながら歩いている。

銀杏の街路樹は、何も語らない。
それでも、
「もうすぐ冬だよ」と
葉の感触と雨の匂いで知らせてくれる。

踏まれても、流されても、
落ち葉は文句ひとつ言わない。
ただ、季節の記憶として、
この街に短い余韻を残している。

小雨の中で立ち止まり、
濡れた銀杏の葉を一枚、目で拾う。
今日という一日も、
こんなふうに静かに積もっていけばいい、
そんなことを思いながら、また歩き出した