Lufre さんの日記
2025
11月
2
(日)
15:10
本文
書斎の傍らにて… ヴァランという名の静けさ
書斎に差し込む午後の光は、季節ごとに色を変える。
けれど、その傍らにいるあの犬だけは、いつも変わらぬ静けさを保っている。
ヴァラン──
名を呼ぶことは滅多にない。呼ばなくとも、彼はすでにそこにいる。
ソファの影、窓際の陽だまり、本の積まれた足元のカーペット。
どこにいても、彼はまるで“気配のない存在”のように佇んでいる。
吠えない。騒がない。
ただ、時折こちらを見上げる瞳の奥に、言葉以上の理解がある。
私が考えごとに沈んでいる時──
彼はじっと耳を伏せて、まるで私の沈黙の重さを引き受けてくれる。
嵐の夜には、一歩も動かずに、
書斎という名の小さな世界に、安定した重心を置いてくれる。
外には、吠える声がある。
主の不在を埋めようとする音も、虚勢も、
何かを誇示するような派手な尾の振り方も──
ヴァランには必要ない。
彼は「満たされている静けさ」そのものなのだ。
それは、騒がしさよりも深く、
孤独よりも優しい。
書斎にて、今日も私は、
彼の沈黙とともに言葉を綴っている。
言葉は届かなくていい。
ただ、どこかで誰かのまぶたの裏に、
一瞬でも「引っかかる」ことがあれば、それでいい。
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