Lufre さんの日記
2025
12月
25
(木)
22:59
本文
※これは寓話です。登場する動物や出来事はすべてフィクションです。
森の奥深くに、
ひときわ古びた高台に一羽の鳥がいた。
その鳥は自らを「裁き鳥」と名乗り、
高い枝の上から、森のすべての動物たちに言葉を投げつけた。
「罪ある者は、あの岩に縛り付けるべきだ」
「葉を散らしたのは誰だ?木々の安寧を乱す者は許されぬ」
「夜に咆哮した獣は、心に闇を宿す愚か者だ」
だが、森の動物たちは誰も返事をしなかった。
風が吹いても、木の葉が揺れても、
誰も彼に視線を向けない。
それでも鳥は叫び続ける。
「黙っていても、我は見ているぞ!」
「法に照らせば、すべて明らかになる!」
ある日、通りかかった老いたフクロウがこう言った。
「おや……その嘴、ずいぶんと疲れておるな。
もしかして、お前はもう……飛べぬのではないかね?」
裁き鳥は声を詰まらせ、しばらく何も言わなかった。
気づけば、自らが止まっていた高台は
誰も近づかぬ、朽ちた檻の中の止まり木であった。
檻をつくったのは誰でもない。
それは、裁き鳥が自ら築き上げた言葉の残骸だった。
言葉は、相手に届かねば「音」にならず。
届ける者が尊敬を失えば、それはただの「騒音」に変わる。
森は静かに、真の対話を待っている──。
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