Lufre さんの日記
2025
11月
30
(日)
20:19
本文
書斎の窓を叩く雨が、いつもより少し強い気がした。
風が湿った紙を、どこかから運んできたようだった。
その紙には、知らぬ誰かの名もない主張が並んでいた。
やたらと難しい言葉で飾られたそれは、
まるで法典を模した“紙の鎧”のようだった。
けれど読めば読むほど、不思議なことに、
その文からは 怒り しか伝わってこなかった。
誰に向けた言葉なのかは、どこにも書かれていない。
だが、あまりにも 声が大きい。
──これはきっと、何かが 効いてしまった のだろう。
沈黙に刺される者は、声で自分を守ろうとする。
「これは違法だ」「これは許されぬ」
「罰則だ」「開示請求だ」「震えて眠れ」──
その言葉たちは、
どこかで 震えている者自身が、唱えた呪文 のようにも見えた。
でも、ふと思う。
本当に強い者は、そんな呪文など唱えずとも、ただ静かに笑うのではないか?
雨はまだ止まぬ。
書斎の隅で、紙の城はゆっくりと濡れ、
やがて、 読めないほどに滲んでいった。
──これはただの物語。
そう記しておけば、誰も傷つかぬはずだ。
言葉は届かなくていい。
ただ、どこかで誰かのまぶたの裏に、
一瞬でも「引っかかる」ことがあれば、それでいい。
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