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やいやい、またよう来てくれたなぁ。
今日はな、おせんばあちゃんがこの人生でいちばん「脱ぎたくなかったのに脱げた日」の話をしようと思うてな。

あれはまだ、60代そこそこの頃じゃったかいな。腰もギリ若くて、近所の「木曽湯」っちゅう銭湯によく通っとったんよ。そこは昔ながらの番台があって、常連さんばっかりで、のんびりできるええ湯屋だった。

で、その日も「冷えるわぁ」と思って、湯で温まって、さて上がるかと浴室から脱衣所へ向かおうとしたその瞬間──事件は起きた。

滑る・転ぶ・飛ぶ
浴室の床がぬれててなぁ。ワシ、気をつけとったつもりが…「ツルッ！！」て足元すべって、見事に宙を舞ってもうたんよ！

で、ここからが問題。タオル一枚、命の綱やったそのバスタオルが、ふわ〜っと舞い上がって、空中で見事に分離。

ワシ、スッポンポンのまま、ずるずると脱衣所までスライディングよ！

見てはいけないものを見た常連たち
脱衣所には、近所のおばちゃん連中が10人はおった。
その視線がワシに一斉に集中。
しかも、一番手前にいた町内会の会長婦人、目をまんまるにして言うたのよ。

「おせんさん、えらいサービス精神やな…！」

もはやワシ、起き上がることもできず、その場で床に正座して「失礼いたしましたぁ〜！」って頭下げたわ（笑）

翌日のスーパーで…
事件の翌日、スーパーで買い物しとったら、知らん若いお嬢さんに「あの…昨日、銭湯で…かっこよかったです」って声かけられてな。

かっこよかった？？ いや、アレは事故や！！
でもな、その子、ニコニコ笑ってて、「元気もらいました」言うてくれて、ちょっとだけ救われた気したわ。

今日の教訓
人間、滑って転んで、恥をかいても死にはせん。
どころか、笑いのネタになって、誰かの気持ちを軽うすることもある。
だからあんた、転んでも、タオルが飛んでも、顔上げて笑うたらええんやで。

ほな、今日はここまで。次は「お葬式で寝言言うてしまった話」でも書こうかのう（笑）