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庭の隅に
以前飼っていたサバトラ猫のお墓がある。

この子は梅雨の日に、カシワバアジサイの繁みで鳴いていた子だ。
いつしか母の寝ている部屋のポーチに移動してきて、餌を何日かあげた後、自分から部屋に飛び込んできた。
生後約2ヶ月くらいだったか…初めての血液検査では何の問題も無かった。
半年後のクリスマス、食が細くなり病院に連れて行ったら「白血病陽性」
発症してしまっては何も出来る事はない、と言われた。

12月末
母をデイサービスに預け、ただ一人の姪の葬儀に行った日。
もう食事も水さえも摂らなくなっていた猫を、1匹だけ置いて皆で出掛けた。
出掛ける時、窓から外を見ていた猫に、外から何度もバイバイをした。
待っててね、行ってくるからね、と。
気掛かりではあったが、猫と姪の葬儀だ…天秤にかけられる筈もない。

葬儀が終わり、真っ暗な自宅に帰り着き、猫のいる部屋に駆け寄る…猫は部屋の出入口を見つめて、歩いている格好のまま倒れ、亡くなっていた。
トイレで吐いた形跡が少しあった。
最期までトイレの失敗をしたことがなかった猫。

固くなり始めた亡骸に駆け寄り、抱きしめて
「今日だったの…今日だったの」と、取り乱し泣いた2年前の暮れを忘れない。

今の猫ﾁｬﾝは健康だ。
ワクチン2回と避妊手術、虫刺され以外に病院には行ってない。
庭の散歩をする時、サバトラ猫のお墓を掠めて歩く。
その度に、楽しくて幸せなのが申し訳ない気持ちになる。

いつか
また一緒に遊ぼう。
好きだったボール転がしを、君が飽きるまでしていいよ。