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もう20年以上前のことであるが、大福は
バングラディシュの少女から手紙をもらった
ことがあった。

当時大福は詩吟教室に通っていた。
配偶者を亡くしたばかりで、沈みがちだった彼の
気分転換になればと、友人が半ば無理やり
引っ張り込んでくれたのである。

大福はそこの師範の一人に頼まれ、
某NPOを介して貧困のために学校へ通うことのできない
バングラディシュの子供たちを学校に通わせる
教育里親というのをやることになった。

大福とてお金が有り余っていたわけではないが、
月々５千円ほどのこと。もともと人の好い大福である。
一年間という約束で引き受けることにした。


そんなある日、大福が詩吟の稽古を終えて帰ろうと
すると、件の師範が大福を呼び止め、彼にいくつかの
手紙を手渡した。

それはベンガル語で書かれた彼の地の子供たちからの
感謝の手紙とその訳文だった。

大福は教室の片隅に腰を下ろして丁寧にそれを読んだ。
しかし読み進めるにつれ大福の顔は段々とこわばっていった。


手紙の最後に書かれていた、にほんのおとうさん
ありがとう・・というたどたどしい日本語を見て
大福はとても嫌な気分になり、手紙の感想を求める
師範に黙礼だけして教室をあとにした。





あんな手紙・・と大福は思った。

子供にあんな媚へつらったクソ手紙を
書かせるんじゃねえ、と。

その前にまず、子ども達に余計な種明かしなんて
するんじゃねえ、と。









「お玉の遺言」閲覧数300回突破御礼　
　　　　　♡特別付録♡　　　




　　　　　スペアリブ





ぽんちゃん、何か食べたいものある？


わたし、前から〇〇山荘のスペアリブが
食べたかったのよねぇ～


スペアリブ・・・


大福くん、スペアリブは苦手なの？


え？　あっ、いやぁ～まあまあかなぁ　　
わははははは。


〇〇山荘のスペアリブはめっさ有名で、
めっさ美味しいらしいよ。


はあ・・・ほな俺、そこ予約しとくわ。


うっそー、ありがとう大福くん。　
めっさ楽しみやわー


ああ、そうね～。ところでぽんちゃん。


はい？


つかぬ事をお聞きしますが


はい。


そのスペアリブというのはどういった食べ物なの？