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久々の朝からの晴天、かねてから心に引っ掛かっていた2本の木を伐った。
百日紅とすももの木。
離れの裏に2本並んでいるこの木は、そろそろ寿命が来たように感じていた。

百日紅は背ばかり伸びて、ツルツルな木肌の皮が剥け、所々に穴が開いていた。

すももの木は、父が生前に愛した木だったので、伐ると決めるまでにはかなり迷った。
迷う私を試すみたいに、今年は見事に白い花が咲いた。
が、結実しなかった。
背丈がありすぎて、日陰を作り下枝はポキポキ折れてみすぼらしい…

チェーンソーで、伐採されている木を見るのは辛いかな？と思ったが、光が差し明るくなった地面を見たら
意外にも口から出た言葉は「スッキリした」だった。

切り終えたすももの幹は、生きていた事を知らせるみたいに生々しい。
百日紅の方は、こちらは終わりは時間の問題で、木の中にはウロが空き、蟻が巣くっていた。

後片付けをしていたら、木の葉にはカタツムリが沢山いた。
見かけただけは他に移動しつつ、黙々と片付けて行く。

見慣れないカエルが、切り落とされた枝に張りついたまま動かない。
Googleレンズで調べたら「シュレーゲルアオガエル」と出た。
普通のアマガエルよりふた回りは大きいだろうか。

(どうしたら良いのさ)と顔が困ってる気がして「キミの住み処を無くしちゃったね」
「そんなつもりは無かったんだけど」
「なんなら椎の木の上に乗せてあげようか？」
などと話し掛けたが、3度目にカエルが居た場所を見に行った時には、もう居なくなっていた。

私の都合で庭を片付け、引っ越しを余儀なくされた動物や虫たち。
ムカデ、ダンゴムシ、蟻、カタツムリ、カエルにミミズ…彼ら、弱い立場の者の都合などお構いなし。

空からは暖かな日の光。
もぞもぞと場所を変え、なんとか生き抜く有象無象。
どんな迫害にあっても、生き物は死ぬまで生きるのだ。
今日は伐られた木だって、その内きっと横から新芽を出す筈。

日日是好日
叫びたい程辛くても。

空を見上げて
顔も名前も知らない彼女に、この光を、青空を見せたいなぁ…と思った。