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同じフロアに詮索好きな老婦人が住んでいる。

80代後半に見える。往年の浦辺粂子さんにそっくりである。
詮索好きな人は珍しくもないが、この方の詮索の仕方は生理的に受け付けられないので極力避けている。
以前にblogに書いたが、ざっとこんな内容だったと思う。
↓
｢オタクのお嬢さん、高校はA高校だったんですってね｣
｢いえ、違います｣
｢Ｔさんが、言ってたのよ。嘘をつくような人じゃないわ｣
｢とにかく、違いますので。失礼します｣　
｢待って！私、みんなにそう言っちゃったのよ｣
｢そうですか。とにかく違いますから｣
｢え？それじゃあ…｣
私が｢ほんとはB高校です｣と言うのを待つ彼女を残して足早に立ち去ると｢まったく愛想ない｣みたいなことをぶつぶつ呟くのが聞こえた。
前置きが長くなったが、さて今回。

エレベーターを待っていたら捕まってしまった。
｢娘さん、結婚したのね｣
｢いえ、してません｣

彼女の質問はまずYesNOクエスチョンで始まるのが特徴なので、きっぱり否定する。
｢え？それじゃあどうして？｣
どうして実家から独立したのか、と聞きたいのだろう。
聞こえないふりをするとさらに｢娘さん、いくつ？｣

答えずに愛想笑いして、エレベーターはやめて階段の方に回ると、彼女はよたよたと追いかけてきた。

そして、よろめいて廊下の壁に激突した。
転倒でもしたらさすがに戻って手を貸すが、大丈夫そうなので戻らなかった。

彼女が質問攻めにするときの鋭い上目遣い、答えないことへのあからさまな不満。
いつも｢お答えしたくありません｣とはっきり言いたくなるが、かろうじて堪えている。
今回のように興奮のあまりよろめいて、次は本当に怪我でもされたらどうしよう…