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大切な方の大切な方が亡くなった。
かける言葉が見つからない。

2年を超える入院闘病生活の間
彼は懸命に支えた。
持ち前の負けん気、気力、体力で
シングルファザーとしてお嬢さんを育て、
全国を飛び回る仕事をこなし、
仕事終わりからの毎日の病院での付き添い、
その全てが彼のルーティーン。

卓越した知恵と交渉力で
あのコロナ禍の中、普通はお見舞いも禁止されているのに
病院での付き添いの許可もとった。
病院スタッフのような顔で、入館してます、と笑った。
どうやって病院を脅したんだ、笑

もともと弁は立つ人である。
娘さんの高校在学時、
依頼されてSDGsについての講演を
全校の父兄の前で、登壇し、行った。
それが好評だったので、
もう娘さんは卒業しているのに、講師として再度、と
依頼が来て、２ヶ月ほど前に、また講演した。
大手デベロッパーで、
近隣対策の話し合いを経験していたため、
大勢の人前での話には慣れている、と言う。
怒号が飛び交う修羅場ではないので、むしろ楽です、と、笑

彼の熱意と治療法についての知識を認め
医師も治療方法彼を相談をしてくれるようになった。
それほど彼は勉強もし、努力をした。

ポツンと、
もうどうしようもないことはわかっているんです、
と漏らした。
回復に向けての治療ではないことも。
数ヶ月、意識混濁の日々が続いたある日のことであった。
それでも、彼は付き添った。
どうかすると意識が戻る時があって、
そのときそばにいてあげたい、
昔の話をすると、嬉しそうにするので、と。

若い頃、彼はとんでもないやんちゃだったそうだ。
その頃にかけた迷惑を少しでも償いたいとよく言っている。
あなたはやれるだけのことはやった。
ご自身が倒れるのではないか、と私は心配したくらい。
若い頃はどうあれ、
見事な孝行息子ではないですか。

人は幾度となく別れを繰り返す。
最後は、今生の別れ。
骸になっての別れ。
これは自然の摂理。
そんなことはわかっているが
今の彼の悲しみは自然の摂理とやらでも受け入れがたい、
と思うほどではなかろうか。

ご遺体に向かって、言ってあげたいこと。
こんなにも彼に愛されて
次元の低い私は嫉妬すら覚える。
お母さん冥利に尽きますね。
どうぞゆっくりお休みください。

ご冥福を祈るばかり。