tinc さんの日記
2022
4月
17
(日)
22:15
本文
カットアップという文章作成の技法がある。書いた文章を無作為にばらばらにして再び繋ぎなおすというもので、簡単に実行できるのに予測のつかない効果を生むことがある。用いた人物は作家ではバロウズが有名だと思う。ミュージシャンではデヴィッド・ボウイやトム・ヨーク、オマー・ロドリゲス・ロペスなどの錚々たる顔ぶれが並ぶ。
過去の私はカットアップを知るや否やすぐさま飛びついた。ノートに文章を書き散らしては眉毛用の剃刀でそれらを切り刻み貼り合わせる作業に寝食を忘れるようになった。
3日ほどの後に出来上がったものを読んで本当にがっかりしたのを憶えている。元の文章が貧しく痩せていたり、繋ぎ合わせる際に妙に奇を衒ったりしていてはカットアップの真価を望むことはできない。私がやったのはただの支離滅裂ごっこだった。
考えてみれば当然のことで、上っ面の真似事で簡単にバロウズと比肩できるなら誰も苦労しない。
それでもやっていると面白いから、今でも私は「たまにはカットアップをやりたい」と思う。趣味のカットアップは生産性が皆無で何の役にも立たず金にもならない。つまり面白いことの要件を全て満たしている。
バロウズがドラッグと縁を切るのに苦労したのは、彼のカットアップがあまりに優れていたがために金や名声がついてきてしまったからではないかと私は想像している。
過去の私はカットアップを知るや否やすぐさま飛びついた。ノートに文章を書き散らしては眉毛用の剃刀でそれらを切り刻み貼り合わせる作業に寝食を忘れるようになった。
3日ほどの後に出来上がったものを読んで本当にがっかりしたのを憶えている。元の文章が貧しく痩せていたり、繋ぎ合わせる際に妙に奇を衒ったりしていてはカットアップの真価を望むことはできない。私がやったのはただの支離滅裂ごっこだった。
考えてみれば当然のことで、上っ面の真似事で簡単にバロウズと比肩できるなら誰も苦労しない。
それでもやっていると面白いから、今でも私は「たまにはカットアップをやりたい」と思う。趣味のカットアップは生産性が皆無で何の役にも立たず金にもならない。つまり面白いことの要件を全て満たしている。
バロウズがドラッグと縁を切るのに苦労したのは、彼のカットアップがあまりに優れていたがために金や名声がついてきてしまったからではないかと私は想像している。
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