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友人が実家を片づけた折に、残っていた写真をデジタル化したと聞いた。
我が家でもアルバムは本棚でかなりの場所を占めていて、
昔ながらのアルバムは重く、嵩張る。

週末、写真のデジタル化についていろいろ調べていたとき
「卒業アルバムを捨てる」という検索結果がでてきてびっくり。
学生時代の想い出が詰まった卒業アルバムを捨ててしまう。
私にはできないかも…

一冊の卒業アルバムを開いてみる。
それは大学卒業後、二年間だけ勤務した高校から退職後に送られてきたもの。
懐かしい思い出が蘇る。

新米教師だった私は上司の助言から、毎回宿題の英作文の添削をしていた。
私とコメントを交わしあう生徒もいて、それは交換日記のようになっていく。

担任のクラスのK君は事情があり、同級生より一つ年上。
長身で細身　端正な顔立ち　当時流行の髪型
でも同級生と打ち解けることもなく、笑顔は見られない。
同級生からはニヒルな奴と距離を置かれていた。
私はK君が心配でやはり他の生徒より彼に目をかけていたと思う。

面接で将来の進路について話す機会があった。
ほとんどの生徒が大学進学を希望する中、彼の進路に関する意志は明確で揺るがなかった。
嬉しいことに同級生とも行事を通して次第に打ち解けていき、
彼の眼差しは柔らかく、笑顔も見えるようになっていった。

K君からの添削ノートへのコメントはほとんどなかった。
ある日のこと、几帳面かつ気の弱さを表す繊細な文字で
「先生が僕より年下だったらよかったのに」

私はうまくコメントを返すことができなかった。
もしも彼から直接言葉で伝えられたら何と言って返しただろう。

私はその後、結婚が決まり、彼らを送り出すこともできないまま退職。
一年が経ち、卒業式後に送られてきたアルバムには私も担任として生徒たちと並んでいた。

卒業写真のあの人はやさしい目をしてる♬




庭の千両、万両の赤い実は飛来する鳥に食べつくされ、南天の実はわずかに残るばかり
梅の蕾はまだ固い
すっかり色を失った庭　
葉ばかりが伸び、地面に倒れている水仙を何本か切り取り、玄関に生ける。
狭い空間はたちまち甘い香りに包まれた。