tinc さんの日記
2021
12月
16
(木)
20:04
本文
日々業務に従事したり通勤したり家事をしたり食べたり飲んだり寝たりしている私は、ふと思い返してみれば存外多くのことを忘れている。数学や物理学の鮮烈、衣食が足りていることの有難さ、以前どうしても眠れなかった時期の苦痛、持病が今よりも少なかった頃に考えた様々のこと等を。
今の私はかつてのようではない。楽しい仕事に就いていて衣食に不自由せずにいるとしても、自分の要領が悪いがために多忙にしているということは日常を褪色させるものである。忘れるな、きみを生かすものがきみを害うのだ。
クリスマスが近い。イルミネーションの輝く街はよそよそしく感じられる。荒野では都市を求め都市にあっては荒野を求める私のような人物はいつも落ち着かず怯えている。それは陳腐な愚かさから生じる苦痛であり、私はこの世に楽園が無いことをいいかげんに理解せねばならない。
真理に到達することも善を為すことも無く長く生き過ぎたように感じる。やりたいこと、なすべきことは山ほどあったはずであった。それらを動機に何かを始めてはすぐにその動機を見失い、退屈で緩慢な死を歩む。この場合に時折感じられる生の実感は幻想で、私は最初から死んでいるのと何も変わりが無い。
思い出せ。
解釈に依らない現実があることを。
生命の躍動を。
長い間使わずにいる言葉と論理を。
嫌な商売相手と手を切った次の日の朝のコーヒーの香りと、アスファルトの端から覗く雑草の青さと瑞々しさを。
初めてブーツを履いた日のことを。
何もかも思い出して二度と忘れるな。
私は単に疲れているのかもしれないが、単に疲れるだけで重要なことを忘れてしまうなら疲れてはならない。
今の私はかつてのようではない。楽しい仕事に就いていて衣食に不自由せずにいるとしても、自分の要領が悪いがために多忙にしているということは日常を褪色させるものである。忘れるな、きみを生かすものがきみを害うのだ。
クリスマスが近い。イルミネーションの輝く街はよそよそしく感じられる。荒野では都市を求め都市にあっては荒野を求める私のような人物はいつも落ち着かず怯えている。それは陳腐な愚かさから生じる苦痛であり、私はこの世に楽園が無いことをいいかげんに理解せねばならない。
真理に到達することも善を為すことも無く長く生き過ぎたように感じる。やりたいこと、なすべきことは山ほどあったはずであった。それらを動機に何かを始めてはすぐにその動機を見失い、退屈で緩慢な死を歩む。この場合に時折感じられる生の実感は幻想で、私は最初から死んでいるのと何も変わりが無い。
思い出せ。
解釈に依らない現実があることを。
生命の躍動を。
長い間使わずにいる言葉と論理を。
嫌な商売相手と手を切った次の日の朝のコーヒーの香りと、アスファルトの端から覗く雑草の青さと瑞々しさを。
初めてブーツを履いた日のことを。
何もかも思い出して二度と忘れるな。
私は単に疲れているのかもしれないが、単に疲れるだけで重要なことを忘れてしまうなら疲れてはならない。
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