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「ちょっとこれ、どおしたら良いと思う？」


ある日、奥さんが帰ってくるなりいきなり問いかけてきた。

「何っ？」

と思って顔をあげると、手には野口英世が２枚。

玄関の前に落ちてたんやって。


「落とし物？　２０００円かぁ。
交番に持って行ってもまともに相手してもらえるとは思えない金額やし・・

　もらっちゃえば？」

と僕が答えると

「でもなんだか悪い事しているみたい。
落とした人も困っていると思うし、それはアカンのとちゃう？」

と、ついこの前スーパーの店員さんが目の前でお釣りを間違えたのを見て
「１０００円得しちゃった～ぁ。」
と大喜びしていた人と同一人物とは思えない、妙な正義感を発揮するうちの奥さん。


その後
これぐらいの金額やったら落とした人も交番に届ける事無くすぐに忘れてしまうやろし、
交番に持って行っても意味ないし。
という事になって

「そうやね、これは我が家にもらっちゃいましょう。
　なんか得したね。」

と言う結論になった。



で、あれから１ヶ月が経ち

この２枚の野口英世は、未だ机の上。

うちの奥さんも僕も、なんとなく使うのに躊躇してしまっている。



仕方がないので娘に、

「このお金、使っても良いよ。」

と言ったら、

おもむろに財布を取り出し、

中にしまうのかと思ったら
１０円玉を野口英世の顔の上に置き、
お札に向かって手をあわせるという謎の行動。






結局、
この２枚の野口英世は、まだしばらくの間、机の上にいる事になるやろう。



この２０００円、　

　♪あなたなぁ~ら、どうするぅ～？