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一見何も関係無い様な物だが私に取っては、新学期と墓参りには頭を過ぎる事案で何時まで経っても頭から離れない。

　昔兄が希望の高校に合格して、近くに住む親せきの伯父さんから、進学祝いに鞄を買って貰った。然し其の鞄は中学生が使う肩から斜めに掛けて使う白い鞄だった。伯父さんは、息子を学徒動員で亡くして、子供が居なかったから、高校生がどんな鞄使ってるか判らなかったのだろう。兄は其の鞄を自転車の前に乗せて使って居た。二年後私も高校に進学したが、鞄は買って貰えなかった。当時、我が家には子供を育てるのに必死で、新しい鞄何て買う余裕も無かった。母が父が使い古した革の鞄を使う様に私に呉れた。
　其の伯父さんは、子供を亡くしたので、私を養子に欲しいと両親に頼んだらしいが、母が断ったらしい。其の後も、我が家と其の伯父さんとの関係は親密だった。
　
　伯父さんが亡くなる前に墓を作って赤い文字を入れてたのは覚えてる。
然し両親が亡くなり、両親、先祖の墓参りには行くが、其の伯父さんの墓参りには行った事が無いし、話題にも成った事が無かった。御寺が違って、墓地も違うのだろうが、同じ市なのだ。

　兄はかなり其の伯父さんに傾倒して居て、生前何回も其の伯父さんの話を聞きに行ってた。私も伯母さんに誘われたが行かなかった。大分御世話に成ったにも関わらず、母も兄も其の伯父さん夫婦の墓参りの話は出なかったが、私は墓を探しても行くのが筋だと思ってた。私たち以外は親族が居ないはずだから。