tinc さんの日記
2021
2月
21
(日)
04:58
本文
「向上したい」「成長したい」という思いが無いわけではないものの、何となく荷が重く不本意に感じられるので私はいつもそれらを「マシになりたい」と頭の中で置き換えている。「向上」「成長」という言葉は私が自分の本来好まないサラリーマン業をしていた頃に頻繁にスローガンに用いられていたので、記憶に紐付いた嫌な気持ちが既に付着してしまっているのかもしれない。
福祉現場で比較的よく登場する概念に「リフレーミング」というものがある。正確な説明は私には無理であるが、「事象の捉え方を変えることで異なる意味や視点に気づくこと」くらいの認識でひとまずよいのではないかと思っている。
例えばある福祉サービスの利用者が職員のところを相談に訪れ、「自分はいつも気を回しすぎてしまって、かえって相手の気分を害するのである」と述べた場合に、職員は「いつも相手の方を慮って行動されるあまりに誤解を受けてしまうのですね」等の返答をすることがある。この場合のリフレーミングは利用者の「気を回しすぎる」傾向を肯定的に捉えなおし、「相手の気分を害する」事態を誤解と仮定することで、利用者の否定的な自己像を相対化し中立的な視点へ接近することを促す効果を狙っている。
また福祉職員の仕事の多くは利用者本人のみを見て成立するものでなく利用者とその利用者を取り巻く環境との相互作用を検討することを要するため、リフレーミングには職員が偏狭な認識に基いて利用者に対し不適切な支援を行うことを防止する効果もある。
冒頭に挙げた私の頭の中の言葉の置き換えはリフレーミングと呼べるほど高度なものではないが、「向上」「成長」という私が負の印象を持つ言葉を用いないことで不快感を緩和し、「マシになる」という「改善前も改善後もある程度悪いのは致し方無い」ことを含意する表現を用いることで自身への期待値を下げて改善の行動に取り組みやすくする意図に基いており、退化した形のリフレーミングと呼ぶこともできる。
リフレーミングは字義通りには「枠組みの再設定」である。既に完成している認知の構造をいったん取り払うことで構造が取りこぼした要素を見直すことになり、その構造が対応できなかった事象に対応できるようになることもある。
私は束縛を嫌う性質を持つわりには無意識に思考を何かの枠組みに収めてしまいがちで、フリーズした端末のように内奥で同じプロセスを延々と追っていることが珍しくない。拘束から解き放たれるためには、手の中に握りしめた何かを捨て忘れ去ることが必要な時がある。
福祉現場で比較的よく登場する概念に「リフレーミング」というものがある。正確な説明は私には無理であるが、「事象の捉え方を変えることで異なる意味や視点に気づくこと」くらいの認識でひとまずよいのではないかと思っている。
例えばある福祉サービスの利用者が職員のところを相談に訪れ、「自分はいつも気を回しすぎてしまって、かえって相手の気分を害するのである」と述べた場合に、職員は「いつも相手の方を慮って行動されるあまりに誤解を受けてしまうのですね」等の返答をすることがある。この場合のリフレーミングは利用者の「気を回しすぎる」傾向を肯定的に捉えなおし、「相手の気分を害する」事態を誤解と仮定することで、利用者の否定的な自己像を相対化し中立的な視点へ接近することを促す効果を狙っている。
また福祉職員の仕事の多くは利用者本人のみを見て成立するものでなく利用者とその利用者を取り巻く環境との相互作用を検討することを要するため、リフレーミングには職員が偏狭な認識に基いて利用者に対し不適切な支援を行うことを防止する効果もある。
冒頭に挙げた私の頭の中の言葉の置き換えはリフレーミングと呼べるほど高度なものではないが、「向上」「成長」という私が負の印象を持つ言葉を用いないことで不快感を緩和し、「マシになる」という「改善前も改善後もある程度悪いのは致し方無い」ことを含意する表現を用いることで自身への期待値を下げて改善の行動に取り組みやすくする意図に基いており、退化した形のリフレーミングと呼ぶこともできる。
リフレーミングは字義通りには「枠組みの再設定」である。既に完成している認知の構造をいったん取り払うことで構造が取りこぼした要素を見直すことになり、その構造が対応できなかった事象に対応できるようになることもある。
私は束縛を嫌う性質を持つわりには無意識に思考を何かの枠組みに収めてしまいがちで、フリーズした端末のように内奥で同じプロセスを延々と追っていることが珍しくない。拘束から解き放たれるためには、手の中に握りしめた何かを捨て忘れ去ることが必要な時がある。
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