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私の勤務先では目下フルリモート化へ向けた会議や準備業務が慌ただしく行われており、一昨日昨日と私も会議に出席しいくつかの意見を述べる機会を与えられた。何人かいる直接雇用の先輩たちが出席しない中でのことであったので少し違和感を持ったものの、会議にあたり部署の現場意見を取りまとめて提出すること等の練習をさせてもらえたということであると思う。またネットワーク事業部をはじめとする他部署の人々から教示を受けたり雑務の一部を手伝わせてもらう中で今まで接することの無かった人々と話すこともでき、状況が悪いからこそのフルリモート化に係る諸業務であるとはいえそれらのことを有り難く感じた。

今日は代休で非番である。現在までの私は外出や会食等を己の何となくの感覚で減らすという態度であったのであるが、今後新型ウイルス感染症の影響が充分な減衰を見せるまでは外出をしないことに重心を移して生活をしようと考えているところである。必要な時に必要な場所へだけ人の少ない時間に出かけてゆくようにする。私の心理的均衡の命綱である散歩も減らす。強要される自粛をとても奇妙に感じるが、私が大した自粛をしなかったことで現在の状況になっているところも幾ばくかあるのかもしれないから文句ばかり言う筋合いでもない。

落ち着きのないのが性分の私はつい動いていたくなる。普段よりも時間をかけて家の掃除などをしてみたものの、同居の姉はやはりテレワークで在宅しているのであまり根本的な掃除もできない。
それで私が今日先程からしているのが、服や靴に刃ややすりを入れてぼろぼろにするという手慰みである。

私は服や靴を好きであるがいずれも新品の状態をあまり好きでない。型崩れや傷みが生じていたり色褪せていたりするのが良いと感じる。気に入ったものは頻繁に着用して早くボロくなってくれるよう願うのであるが服も靴もそれほど簡単に劣化しない。私の好きな中古のワークブーツの元の持ち主がどれほど過酷な環境にいたか想像を絶するようなところがある。
前々から服も靴も傷まないまま自分が年老いてゆくばかりだと思っていたので、なるべく家にいることにしたわけだし服と靴を痛めつけようという意志に至ったのである。

手始めに新品のスニーカーをやすりでぼろぼろにした。なかなかの風合いが出て、スニーカーを履かない私もこれなら履いてよいかと思い満足である。想像よりも早く仕上がったのも嬉しい。
このブログを書いている現在はブレザーにやすりをかけている。それが終わったら多分次にジーンズを傷める。どのような損傷を与えるかを考えるのは物に物語を与えるかのようで、やすりの動く先を見ていると様々のイメージが頭を訪れる。陶芸や絵画を趣味にする人も似た体験をするのだろうか。

この先ひとまずの安定が形成された際には会いたい人がたくさんいる。その時に恥ずかしい思いをしないためにも精々ボロい格好をしていよう。