tinc さんの日記
2020
12月
22
(火)
02:50
本文
私は身長170cmで体重55kgなので概ね標準体重の範囲であると自分で思っているが、「デブ連盟」というものに加入している。「デブ連盟」は肥満体型の大食漢が集まって食べ放題のお店へ行くという活動をしている小団体で、「同じ味付けなら量が多いほうがうまい」「同じ量ならカロリーが高いほうがうまい」「おかわりは別腹」等の理念を掲げている。
昨夕は「デブ連盟」の集まりがありあるチェーンのしゃぶしゃぶの食べ放題のお店へ行った。私が満腹になってもうコーヒー1杯しか胃に入らないという状態になっても、一緒に行った他の3人は凄まじい速さで肉を熱しては食べ、ご飯のお茶碗が空になればすぐさまおかわりに向かい、そのおかわりと共に焼きそばやラーメンを持って戻ってくるという疾風怒濤の行動を続けた。その間彼らの間に会話と云うべきものは聞かれず、私も彼らの食べる邪魔をしてはならないという意識もあって「お腹が苦しい」と内心で思いながら黙って座っていた。他の客が疎らであるにも関わらず我々のテーブルに肉を運ぶ対応のみで忙しそうなお店の方は何を思うのかとも想像した。
食べ放題の時間が終わりに近づくと彼らも満足したのか、白玉とつぶあんやソフトクリーム等を入れたどんぶりとカフェオレやコーラ等の飲み物を持ってきて訥々と会話を始めた。
「やっぱあれだな」と1人が言った。「家でもデブ活はできるけど、食べ放題は色々食べられるからいいよな」
もう1人は「コロナでみんな家にいるからデブが増えてる。デブの基準が底上げされて、もうちょっと太っても何も言われなくなるんじゃないか」との見解を述べた。
もう1人は「この店、俺らの食ってるの見て減ってたデザート補充してくれたんだと思う。また来よう」との観察を述べた。
そして彼らは口々に私に、「そんなに食べなくて大丈夫か」「体調が悪いのか」「悩みでもあるのか」等の言葉を掛けた。私は単に彼らほど食べられないだけで体調は良好であること、これといった悩みも無いことを答えた。彼らからは「ならいいけど、何かあったらとにかく食えよ」「食ってれば死なない」「カロリーは生命線だぞ」との助言が返ってきた。
これらのことから分かるように彼らはみな好人物である。私は彼らを好きで「デブ連盟」に加入しており、「肥満体型ではないが食べることに対する情熱は持ち合わせている」という理由で「名誉デブ」の称号も受けている。
彼らはそれぞれ自動車で帰っていった。「電車の中で立ってると膝がもたないから」という理由である。彼らは今回私の住まいから比較的近いところへ場所を設定してくれたので、私の帰宅は楽なものであった。
私にはひとの外見に言及するのを避ける傾向がある。そのことにもかかわらず「デブ連盟」が私にとって居心地が良いのは、彼らと比して特段の肥満体型ではない私を彼らのほうが排斥しないという頼もしさがあるからである。外見の特徴を連盟の名に冠していても、現にその連盟を成す人々が私にとって良い人々であるので私も気分良く参加していられるのである。
彼らはカロリーを多く摂取するという信念を持っている。私も自分の中に信念の存在を感じることがあるが、彼らのカロリーに対するそれのように強固なものではない。私が尊敬や憧憬を抱く存在は歴史の偉人ばかりではなく、同じ市井を生きる人々の中にもある。
昨夕は「デブ連盟」の集まりがありあるチェーンのしゃぶしゃぶの食べ放題のお店へ行った。私が満腹になってもうコーヒー1杯しか胃に入らないという状態になっても、一緒に行った他の3人は凄まじい速さで肉を熱しては食べ、ご飯のお茶碗が空になればすぐさまおかわりに向かい、そのおかわりと共に焼きそばやラーメンを持って戻ってくるという疾風怒濤の行動を続けた。その間彼らの間に会話と云うべきものは聞かれず、私も彼らの食べる邪魔をしてはならないという意識もあって「お腹が苦しい」と内心で思いながら黙って座っていた。他の客が疎らであるにも関わらず我々のテーブルに肉を運ぶ対応のみで忙しそうなお店の方は何を思うのかとも想像した。
食べ放題の時間が終わりに近づくと彼らも満足したのか、白玉とつぶあんやソフトクリーム等を入れたどんぶりとカフェオレやコーラ等の飲み物を持ってきて訥々と会話を始めた。
「やっぱあれだな」と1人が言った。「家でもデブ活はできるけど、食べ放題は色々食べられるからいいよな」
もう1人は「コロナでみんな家にいるからデブが増えてる。デブの基準が底上げされて、もうちょっと太っても何も言われなくなるんじゃないか」との見解を述べた。
もう1人は「この店、俺らの食ってるの見て減ってたデザート補充してくれたんだと思う。また来よう」との観察を述べた。
そして彼らは口々に私に、「そんなに食べなくて大丈夫か」「体調が悪いのか」「悩みでもあるのか」等の言葉を掛けた。私は単に彼らほど食べられないだけで体調は良好であること、これといった悩みも無いことを答えた。彼らからは「ならいいけど、何かあったらとにかく食えよ」「食ってれば死なない」「カロリーは生命線だぞ」との助言が返ってきた。
これらのことから分かるように彼らはみな好人物である。私は彼らを好きで「デブ連盟」に加入しており、「肥満体型ではないが食べることに対する情熱は持ち合わせている」という理由で「名誉デブ」の称号も受けている。
彼らはそれぞれ自動車で帰っていった。「電車の中で立ってると膝がもたないから」という理由である。彼らは今回私の住まいから比較的近いところへ場所を設定してくれたので、私の帰宅は楽なものであった。
私にはひとの外見に言及するのを避ける傾向がある。そのことにもかかわらず「デブ連盟」が私にとって居心地が良いのは、彼らと比して特段の肥満体型ではない私を彼らのほうが排斥しないという頼もしさがあるからである。外見の特徴を連盟の名に冠していても、現にその連盟を成す人々が私にとって良い人々であるので私も気分良く参加していられるのである。
彼らはカロリーを多く摂取するという信念を持っている。私も自分の中に信念の存在を感じることがあるが、彼らのカロリーに対するそれのように強固なものではない。私が尊敬や憧憬を抱く存在は歴史の偉人ばかりではなく、同じ市井を生きる人々の中にもある。
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