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昔通りの水銀がはいっている体温計を落して壊してしまいました。

そこで、近くの薬局で求めようとしましたが、生憎品切れのようでした。
薬局のおばさんは「注文してるんですがね～、入って来ないんですよ、問屋さんの話ではメーカーも製造に力を入れてるって言うんですけどね～」

現在は額に向けるだけで熱を計れるデジタル式の体温計が主流で、それが品不足なのかな?と思って、「水銀が入ってる体温計でもいいんですが」と言ったところ「それも入って来ないんですよ」と諦め顔でした。

そして、「ちょっと待ってて？」とお店に併設の自宅？のドアをあけて消えました。

やがて出てくると、その手には透明のケースに入った水銀の体温計が握られていました。

「いつもお世話になってるから・・・これ、私の家で使ってる体温計だけど、これで良ければ上げますよ」とまだ新しい体温計を手渡そうとするではありませんか？

「いや、そんな訳には・・・」と断ると、「同じものが他にもあるから、どうぞ！」

薬局へ体温計を買いに行って、只で貰って帰る訳にはいきません。

「それじゃ～、最近疲れ気味だから何か元気が出るドリンク剤をください」という私に、「買わなくてもいいのよ！」と売ってくれません。

そこで「これでいいので・・・」
ドリンク剤を見つけて無理やり買わせて貰いました。

何年か前にご主人が他界され、一人でお店を続けて来られた奥さんですが最近はさっぱり売れてないそうで、「もうお店を閉めようと思ってるので・・・」と寂しそうでした。

家のことで相談に乗ったり、一寸した補修は無償でやって上げたりもしてきましたが、それにしても、人様には良くしておくものです。