tinc さんの日記
2020
11月
25
(水)
11:20
本文
マリリン・マンソンという有名なロックミュージシャンがいる。キリスト教原理主義の抑圧的な価値観を筆頭にアメリカの暗部を強く非難する楽曲を多数発表したことで一時きわめて悪名高かった一方、激烈なサウンドとポップでキャッチーなメロディを両立した完成度の高い作品性でセールスも高かった。近年のアルバムではいずれも社会批判は後景に退くとともに内省的であったり抽象的であったりするテーマを高雅な音楽性で昇華したものが多くなり、私の中ではマンソン自身が若年の頃に強い影響を受けたというデヴィッド・ボウイの像に近づきつつある印象である。
彼の比較的初期の作品群に『アンチクライスト・スーパースター』『メカニカル・アニマルズ』『ホーリーウッド』という広く『三部作』と称されるものがある。強大な体制への反逆を試みた人物が敗北し空虚な存在へと変えられた後ある形での復活を果たすというストーリーが背景にあり、キリストの伝説をモティーフの一つにしながら一般的なキリスト教のイメージを反転させること、それによってキリスト教への信仰の名に基く現代社会の邪悪を糾弾することが見事に成されている。私にとっては青春時代の聖典とも云うべき3枚のアルバムであり、現時点でも彼の最高傑作と思う存在である。
今日は長年お世話になっているヘアサロンへ行く途中の電車の中でこの三部作を聴き直しているところである。乗車時間でアルバム3枚全てを通して聴くことはできないが、私が指先の操作である程度無作為に選ぶどの曲もシリアスで硬質で示唆に富んでいる。
今聴いてもやはり良いと感じるとともに、色々なことを思い出す。マリリン・マンソンの活動開始前後からだと思うが、『オルタナティヴ・ロック』というジャンルが形成されて、ロックっぽいニュアンスのある楽曲が新しく発表されると取り敢えずそこへ放り込まれるようなおかしな流れがあったこと。日本の『ヴィジュアル系』と呼ばれるミュージシャン達に広大な影響を与えた存在でありながらマリリン・マンソンがそれほど認知されないままだったこと。私自身マンソンの過激なメッセージとサウンドにただ気が狂ったように酔うばかりで、その奥にある知性や良心というものへはあまり思いが至らなかったこと。
人間はいくつになっても古いものから学ぶことが無くならないのだと思う。また古いものに新しい気分を与えられるということもやはり無くならない。
マリリン・マンソン自身は現在も当時のバンドメンバーの残らない中で活動を継続しており、その表現も異なれば心境も変わっているだろうと思う。ひとは変わる。そして普遍性というものがある。過去を忘れるべき時があるのと同じ理由で、過去を追い知るべき時がある。
彼の比較的初期の作品群に『アンチクライスト・スーパースター』『メカニカル・アニマルズ』『ホーリーウッド』という広く『三部作』と称されるものがある。強大な体制への反逆を試みた人物が敗北し空虚な存在へと変えられた後ある形での復活を果たすというストーリーが背景にあり、キリストの伝説をモティーフの一つにしながら一般的なキリスト教のイメージを反転させること、それによってキリスト教への信仰の名に基く現代社会の邪悪を糾弾することが見事に成されている。私にとっては青春時代の聖典とも云うべき3枚のアルバムであり、現時点でも彼の最高傑作と思う存在である。
今日は長年お世話になっているヘアサロンへ行く途中の電車の中でこの三部作を聴き直しているところである。乗車時間でアルバム3枚全てを通して聴くことはできないが、私が指先の操作である程度無作為に選ぶどの曲もシリアスで硬質で示唆に富んでいる。
今聴いてもやはり良いと感じるとともに、色々なことを思い出す。マリリン・マンソンの活動開始前後からだと思うが、『オルタナティヴ・ロック』というジャンルが形成されて、ロックっぽいニュアンスのある楽曲が新しく発表されると取り敢えずそこへ放り込まれるようなおかしな流れがあったこと。日本の『ヴィジュアル系』と呼ばれるミュージシャン達に広大な影響を与えた存在でありながらマリリン・マンソンがそれほど認知されないままだったこと。私自身マンソンの過激なメッセージとサウンドにただ気が狂ったように酔うばかりで、その奥にある知性や良心というものへはあまり思いが至らなかったこと。
人間はいくつになっても古いものから学ぶことが無くならないのだと思う。また古いものに新しい気分を与えられるということもやはり無くならない。
マリリン・マンソン自身は現在も当時のバンドメンバーの残らない中で活動を継続しており、その表現も異なれば心境も変わっているだろうと思う。ひとは変わる。そして普遍性というものがある。過去を忘れるべき時があるのと同じ理由で、過去を追い知るべき時がある。
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