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私は趣味でジーンズの企画をしている。私がするのはデザインの大枠と主要箇所の寸法決定と布地やら糸やらボタンやらという資材の調達までで、型紙を作って縫製して下さるのは懇意にして下さっている外部の方である。今まで数型を作って自分で穿いていたが、最近いろいろな方と話をさせて頂いて、やはり小規模に販売してみようということになった。仮に完売したとしても制作費にしかならないのでこれは商売ではない。

そのジーンズは以前からお世話になっているお店の店主の方が厚意でお店に置いて下さることになっており、今日か明日には商品を発送しなければならない。フリーソフトでシンプルなロゴを作って、それを載せた紙一枚の簡単な説明書を作ったのでそれも同封する。インターネットに画像を掲載して情報を発信する必要があるが、スタジオを借りてプロのカメラマンを雇うようなお金は無いので自宅（姉の借りているワンルームマンションの一隅なので真の意味では自宅ですらない）でスマートフォンで撮影した写真をInstagramに載せることになる。Instagramはずっと以前にアカウントを作成したきりで使い方はまるで分からない。しかも肝心のジーンズを着用しているのはプロのモデルではなく私である。もともと小柄な人向けに服を作ろうと思ったところからなのだが、小柄なモデルの方もいるだろうからそういう人を雇えばよいのだと思う。繰り返しになるがそんなお金は無い。

何も無い中であくせくとやっている。これがたいへん楽しい。
Instagramを商品紹介に使用している企業やお店は多く、いろいろなところを拝見していると店舗内や路上で店舗スタッフの方が着用したところをスマートフォンで撮影したと思われる写真をそのまま掲載しているものも多いようだ。これならできそうだ、という希望も少し湧いてくる。

単なる趣味に幾人もの人が手を貸して下さる。また見知らぬ人々の営みを見て与えられる前向きな気持ちがある。
これは私が愛好してやまないジーンズに見出している、云わば文化というものの一側面に他ならぬと思う。人間性というものであると思う。私は人づきあいを苦手にしながらもこのように人の中で生き人に生かされているのであるから、私もいずれ誰かに何かを与え、その誰かが心から望むことを為す一助を果たせるようになりたいと願う。