tinc さんの日記
2020
11月
12
(木)
18:15
本文
私は身体を動かすのが非常に不得手な、所謂運動音痴である。走っても歩くのとあまり速さが変わらないし、ボールを投げても意図した方向へ飛ばないことが多い。また泳げない。水面に身体を浮かべることすら困難である。運動の得意な人の神経はどうなっているのかといつも不思議に思う。
その私も散歩を愛好しており、一度の散歩が4時間以上に及ぶことは珍しくない。近頃は過ごしやすい気候なのでついつい長く歩いてしまい、夜に少し歩くつもりであったのが帰宅する頃には朝になっているということもある。空の色が変わってゆくのは美しいので見ていたいと思うという理由もある。
ところで、私はアトピー性皮膚炎という皮膚の持病を持っている。炎症と乾燥で皮膚に湿疹等が生じ、身体が非常に痒く掻き傷が絶えないというのがこの病気の特徴の一つである。私は比較的重症の部類に属するようで、強い塗り薬と免疫抑制の作用のある飲み薬無しで過ごせる時期は滅多に無い。このことが原因で散歩のペースにもある程度気を遣わねばならず、身体が火照るくらい歩いてしまうとすぐに痒みに繋がるということが難物である。
このアトピー性皮膚炎に対して、つい一昨日の皮膚科受診の際にコレクチム軟膏という新しい薬が処方された。主治医曰く炎症を抑える効果はさほど高くないため今までの塗り薬も継続する必要があるが、痒みの感覚を減らす効果が期待できるということであった。薬局で受け取った直後に入浴して塗ってみたところ、これが私には劇的に効くようであった。
身体のどこかが痒いということが今までの常であったので、髪の毛があって軟膏の使いにくい頭皮以外にどこも痒くないということにまだ慣れないものの、何をするにも便利で快適である。料理の途中で身体を掻いてしまってその度に手を洗わなければならないということが減ったので食事の支度が楽になった。また履歴書や職務経歴書を作成するにも集中して取り組めるようになった。痒みが少ないということだけで物事が随分違って見える。
私は昨日から、散歩をするのが尚更好きになった。少し速く歩いて息を切らしてみたり、自分の筋肉や関節がどのように動いているかを感じながら動いてみたりして、自分の身体の声を聞くような楽しみを新たに得た。そして散歩から帰宅した後に全身のストレッチと腕立て伏せと腹筋運動とスクワットをするようになった。身体を鍛えようとか綺麗な身体の線を作ろうとかいう意思は無い。ただ身体に負荷が掛かってもそれに痒みが付いて来ないということを満喫している。
私は医療に対して大きな感謝を覚えるとともに、自分のアトピー性皮膚炎という病気から得た体験にも思いを馳せた。アトピー性皮膚炎は生活の質に大きな負の影響を及ぼす。症状が外見に出るので見た目で嫌がられたり誤解されたりすることもあれば、湿疹や乾燥のことを考えながら過ごすということに精神的資源を割かねばならないという不便もある。私がきわめて不調の時は全身に炎症が生じて皮膚が膨れ上がり、その膨れ上がった部分が僅かな刺激で破れて血液やリンパ液等の体液が流れ出し、新しい皮膚が形成される間もなく痒みと痛みと体液の流出が繰り返される。こうなると通常の生活を送ることは困難になり入院加療を受けることになるのであるが、回復しても再び同じ状態になる可能性が現実的に考えられるものであるため何かの仕事に就いていれば雇用継続に不利になる。
私は恐ろしくいいかげんで自分勝手な人間であり、それゆえアトピー性皮膚炎という病気から得たものも多大である。この辛い病気が無ければ私は何らかの困難な状況にある他人への配慮や思いやりというものを欠片も持ち合わせないままであったであろうと思うので、私にとっては厳しい教官とでも云うべき存在でもあると思っている。それでもやはり何者も苦痛の最中にあるべきではなく、私は自分が新しい軟膏で一つの苦痛から解放され新たなものの見方を得たように、全ての人が苦痛から解放され(同時に過度の快楽に依存すること無く)、穏やかに円滑に生活を送れると良いと願う。自由に平等に。平和に幸福に。その形は数多あれど。
その私も散歩を愛好しており、一度の散歩が4時間以上に及ぶことは珍しくない。近頃は過ごしやすい気候なのでついつい長く歩いてしまい、夜に少し歩くつもりであったのが帰宅する頃には朝になっているということもある。空の色が変わってゆくのは美しいので見ていたいと思うという理由もある。
ところで、私はアトピー性皮膚炎という皮膚の持病を持っている。炎症と乾燥で皮膚に湿疹等が生じ、身体が非常に痒く掻き傷が絶えないというのがこの病気の特徴の一つである。私は比較的重症の部類に属するようで、強い塗り薬と免疫抑制の作用のある飲み薬無しで過ごせる時期は滅多に無い。このことが原因で散歩のペースにもある程度気を遣わねばならず、身体が火照るくらい歩いてしまうとすぐに痒みに繋がるということが難物である。
このアトピー性皮膚炎に対して、つい一昨日の皮膚科受診の際にコレクチム軟膏という新しい薬が処方された。主治医曰く炎症を抑える効果はさほど高くないため今までの塗り薬も継続する必要があるが、痒みの感覚を減らす効果が期待できるということであった。薬局で受け取った直後に入浴して塗ってみたところ、これが私には劇的に効くようであった。
身体のどこかが痒いということが今までの常であったので、髪の毛があって軟膏の使いにくい頭皮以外にどこも痒くないということにまだ慣れないものの、何をするにも便利で快適である。料理の途中で身体を掻いてしまってその度に手を洗わなければならないということが減ったので食事の支度が楽になった。また履歴書や職務経歴書を作成するにも集中して取り組めるようになった。痒みが少ないということだけで物事が随分違って見える。
私は昨日から、散歩をするのが尚更好きになった。少し速く歩いて息を切らしてみたり、自分の筋肉や関節がどのように動いているかを感じながら動いてみたりして、自分の身体の声を聞くような楽しみを新たに得た。そして散歩から帰宅した後に全身のストレッチと腕立て伏せと腹筋運動とスクワットをするようになった。身体を鍛えようとか綺麗な身体の線を作ろうとかいう意思は無い。ただ身体に負荷が掛かってもそれに痒みが付いて来ないということを満喫している。
私は医療に対して大きな感謝を覚えるとともに、自分のアトピー性皮膚炎という病気から得た体験にも思いを馳せた。アトピー性皮膚炎は生活の質に大きな負の影響を及ぼす。症状が外見に出るので見た目で嫌がられたり誤解されたりすることもあれば、湿疹や乾燥のことを考えながら過ごすということに精神的資源を割かねばならないという不便もある。私がきわめて不調の時は全身に炎症が生じて皮膚が膨れ上がり、その膨れ上がった部分が僅かな刺激で破れて血液やリンパ液等の体液が流れ出し、新しい皮膚が形成される間もなく痒みと痛みと体液の流出が繰り返される。こうなると通常の生活を送ることは困難になり入院加療を受けることになるのであるが、回復しても再び同じ状態になる可能性が現実的に考えられるものであるため何かの仕事に就いていれば雇用継続に不利になる。
私は恐ろしくいいかげんで自分勝手な人間であり、それゆえアトピー性皮膚炎という病気から得たものも多大である。この辛い病気が無ければ私は何らかの困難な状況にある他人への配慮や思いやりというものを欠片も持ち合わせないままであったであろうと思うので、私にとっては厳しい教官とでも云うべき存在でもあると思っている。それでもやはり何者も苦痛の最中にあるべきではなく、私は自分が新しい軟膏で一つの苦痛から解放され新たなものの見方を得たように、全ての人が苦痛から解放され(同時に過度の快楽に依存すること無く)、穏やかに円滑に生活を送れると良いと願う。自由に平等に。平和に幸福に。その形は数多あれど。
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