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高校の同級生が新たに1人上京してきて、これで当時つるんでいた3人が東京に揃ったことになる。当面女子2人で同居することになるがいずれは新しく来たほうも仕事を見つけて物件を借りる。どんな仕事に就きたいか、どんな部屋に住みたいか、という話から、「疑似コミューンを作るか」という冗談が出た。それぞれ近隣に住んで倉庫なり工具なりを共有するという漠然とした空想である。
今回来たほうは村の社会に耐えられなかったことも理由で来ているわけだから本末転倒の話である。先に東京へ来ているほうと私とは6個入りのアイスをどちらが4つ食べたかで争うくらいだから何かを共有することに根本的に向いていない。そのようなこともあって実現しない類の話であるのだが、楽しい考えであることに変わりは無い。われわれは暫くコミューンを作ったらああしようこうしようという案を出し合って過ごした。

そうして過ごした今日、私はアパートへ戻ってから長らく身に着けていない衣服や靴や鞄を何十点かフリマアプリに掲載した。安い値段で出したので数時間のうちに15点ほどに買い手がつき、先程梱包を終えた。明日になったら出荷する予定である。部屋の空間の殆どを占める書籍も分解してスキャンするか何かして処分を進めようと考えている。

決してコミューン形成のための備えではない。私はきっと触発されたのだと思う。小さなことでも自分のための新しいことをしようという気持ちが芽生えた。私は自分が身軽になることを欲していたと自覚したような気がする。目に見える行動を取ると気分も良くなるものだ。何に繋がっているのかは分からなくても、どこかへ向かっている感覚を得られる。昨日眠っている間に天使に喩えられた人は、実際に私に小さな運命を運んできたのかもしれない。