tinc さんの日記
2020
5月
5
(火)
00:11
本文
ここ数日、若い頃によく読んだハードボイルドもののミステリを再び読んでいる。ハードボイルドはとても間口の広いジャンルで、美麗な文章で作品世界に浸らせてくれるものや人間に備わる悪徳を克明に告発するもの、喜劇的でほっとさせてくれるもの、論理の美しさを打ち出すもの、と様々な作品がある。
私が最初に夢中になったのは魅力的なヒーローやヒロイン達の活躍が中心に据えられているものであった。フィリップ・マーロウ、名無しの探偵、アルバート・サムスン、V.I.ウォーショースキー、コーデリア・グレイ、バーク、等々の人々は、私の周囲に実在したどんな偉い人たちよりも尊敬するべき存在であった。明晰な思考で他者の嘘をあばいたり、格闘術や銃で敵を撃退したりする彼らに感情移入はできなかったが、憧れる相手がいるというのは良いものである。私は彼らのおかげで倫理なるものを頭に置くようになった。人間一般を良いものだと思えず苦しんでいたのが思春期に差し掛かる頃の私であった。良いものでなくとも向き合い尊重してみようかな、と思うようになったのはハードボイルドの主人公達の影響が大きい。
そう言うとハードボイルドが高尚であったり人を成長させたりするもののような印象になるかもしれないが、私は高尚だったことも無いし成長せず老化ばかりしている。私にとってはハードボイルドも含めて読書が何よりも楽しみのためのものであり、古着や古靴を集めたり散歩をしたり映画を観たり音楽を聴いたりするのと同じく、人類の発展に寄与しようがすまいが自分のためにしていることである。
最近は読書に何か知的なイメージがつきまとうように思う。本は娯楽としても優れているのに近寄りがたいもののように扱うのは勿体ないことでもあるし、私としても本を読んでいるという理由で知的な人物のように見なされたらたまったものではない。頭が良かろうと悪かろうと読書はきっと楽しいものである。
私が最初に夢中になったのは魅力的なヒーローやヒロイン達の活躍が中心に据えられているものであった。フィリップ・マーロウ、名無しの探偵、アルバート・サムスン、V.I.ウォーショースキー、コーデリア・グレイ、バーク、等々の人々は、私の周囲に実在したどんな偉い人たちよりも尊敬するべき存在であった。明晰な思考で他者の嘘をあばいたり、格闘術や銃で敵を撃退したりする彼らに感情移入はできなかったが、憧れる相手がいるというのは良いものである。私は彼らのおかげで倫理なるものを頭に置くようになった。人間一般を良いものだと思えず苦しんでいたのが思春期に差し掛かる頃の私であった。良いものでなくとも向き合い尊重してみようかな、と思うようになったのはハードボイルドの主人公達の影響が大きい。
そう言うとハードボイルドが高尚であったり人を成長させたりするもののような印象になるかもしれないが、私は高尚だったことも無いし成長せず老化ばかりしている。私にとってはハードボイルドも含めて読書が何よりも楽しみのためのものであり、古着や古靴を集めたり散歩をしたり映画を観たり音楽を聴いたりするのと同じく、人類の発展に寄与しようがすまいが自分のためにしていることである。
最近は読書に何か知的なイメージがつきまとうように思う。本は娯楽としても優れているのに近寄りがたいもののように扱うのは勿体ないことでもあるし、私としても本を読んでいるという理由で知的な人物のように見なされたらたまったものではない。頭が良かろうと悪かろうと読書はきっと楽しいものである。
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