しき さんの日記
2020
4月
24
(金)
16:40
本文
暖かさが増したここ最近。
「家の中でTVを観てる方が良い
」と言う母に
「たまには私の夢に付き合ってよ?外のテーブルで一緒にお茶でも」
と、泣き落とし…
母は渋々、車椅子に乗った。
外に出た母は眩しそうに空を見上げて「抜けるように青いね」
と、顔に手を翳しながら言った。
風と日射し避けに、厚手の上着に帽子を被せ、しばしの間、母は私の支配下に入る。
二人で紅茶を飲み、お菓子を食べた。
手入れをしたばかりの庭は、母の目にどう映っているのだろう。
見えづらくなった目で、花を見つめ
「あれは何の花?あれは?」と、しきりに問う。
「菖蒲と、シャクナゲ」
おばあちゃんが植えたでしょ?と言うと、そうだったね、とは答えるが、10分もすると
「あの花は何?」とまた聞いてくる。
これに、同じように答える…が何度も続く。
噛み合っていないようで、噛み合わせている会話も続く。
少し風が出てきたので中に戻ろうか?
と聞いたが、昼食も外で食べるという事になった。
その日の夜、私は夢を見た。
母が逝ってしまった夢を。
あれが最後だったのだ、と哀しいような気持ちで目覚めた。
私は直ぐに部屋を出て、母の部屋へと行った。
真っ暗だ。
暗いのは、シャッターが閉まっているから。
枕元と、目線にテーブルのある庭が見える窓の、シャッターを開けた。
母は眩しそうに蒲団を引き上げ、私からのおはようのお返しを言った。
「昨日、庭でお昼を食べたの、覚えてる?」
「覚えてるよ。隣の奥さんが見に来たでしょ」
母はちゃんと覚えていた。
今日も外に出る?
と聞いたら
「家の中でTVを観てる方が良いなー」
と、またしても。
母の顔を見て安心した。
その時の気持ちを、これからも忘れないでいよう…と思った。
「家の中でTVを観てる方が良い

「たまには私の夢に付き合ってよ?外のテーブルで一緒にお茶でも」
と、泣き落とし…
母は渋々、車椅子に乗った。
外に出た母は眩しそうに空を見上げて「抜けるように青いね」
と、顔に手を翳しながら言った。
風と日射し避けに、厚手の上着に帽子を被せ、しばしの間、母は私の支配下に入る。
二人で紅茶を飲み、お菓子を食べた。
手入れをしたばかりの庭は、母の目にどう映っているのだろう。
見えづらくなった目で、花を見つめ
「あれは何の花?あれは?」と、しきりに問う。
「菖蒲と、シャクナゲ」
おばあちゃんが植えたでしょ?と言うと、そうだったね、とは答えるが、10分もすると
「あの花は何?」とまた聞いてくる。
これに、同じように答える…が何度も続く。
噛み合っていないようで、噛み合わせている会話も続く。
少し風が出てきたので中に戻ろうか?
と聞いたが、昼食も外で食べるという事になった。
その日の夜、私は夢を見た。
母が逝ってしまった夢を。
あれが最後だったのだ、と哀しいような気持ちで目覚めた。
私は直ぐに部屋を出て、母の部屋へと行った。
真っ暗だ。
暗いのは、シャッターが閉まっているから。
枕元と、目線にテーブルのある庭が見える窓の、シャッターを開けた。
母は眩しそうに蒲団を引き上げ、私からのおはようのお返しを言った。
「昨日、庭でお昼を食べたの、覚えてる?」
「覚えてるよ。隣の奥さんが見に来たでしょ」
母はちゃんと覚えていた。
今日も外に出る?
と聞いたら
「家の中でTVを観てる方が良いなー」
と、またしても。
母の顔を見て安心した。
その時の気持ちを、これからも忘れないでいよう…と思った。
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