tinc さんの日記
2020
4月
16
(木)
20:12
本文
今日は一日家にこもって音楽を聴いていた。主に聴いていたのはキング・クリムゾンとピンク・フロイド、そしてクラッシュとストラングラーズだった。
プログレッシブ・ロックとパンク・ロックは対立項として捉えられることも多く、その理由のいくつかには納得がゆく。片や形而上的な領域にまで踏み込むかのような芸術と技術の極限、もう片方は既存の社会の拒否を怒鳴り散らす頽廃。訴えかけるものの違いは音そのものの違いやミュージシャンの服装の違いにも表現されている。プログレッシブ・ロックのような、才能と環境に恵まれた者にしか為し得ない音楽を拒否するところにパンク・ロックが一端を発しているという歴史的経緯からしても、対立の構図になることは理解しやすい。
しかしながら実際には、上に挙げたような名だたるミュージシャン達はその構図の枠に収まるほど単純ではなく、殆どの部分ははみ出しているし、対立すると言われてはいても接点がたくさんあるように見える。例えばキング・クリムゾンの代表曲の一つ、『21世紀の精神異常者』はいつ聴いても斬新な曲に乗せて現実に社会で起き続ける暴虐と搾取への絶望を歌っているし、クラッシュは常に社会的なメッセージの発信を継続しながらその音楽性を高度なものに発展させていった。現代においてはロック・ミュージックの範囲がきわめて広いものになっている。開拓したのは彼ら先人たちである。今や「ロック」という単語自体、気骨があるとか新しいとか、あるいは単に馬鹿であるとか、その他あまりにも多くの意味を包含するものになっている。
子どもの頃は居場所に飢えていた。家庭や学校の中に居場所を探していた私に、在るべき場所はその二つに限らないことを教えてくれたのはロック・ミュージックだった。有形無形さまざまへの恐怖に駆られていた時、それを言葉にしてくれたのも、ドライに相対化してくれたのも、問題にすらならないものにしてくれたのもロックだった。死ぬことをよく考えていた頃に、ひとまず生きるという選択肢へ向ける目を開けてくれたのもロックだった。
私はミュージシャンになりたいと思ったことはないが、ロックへの志向は多分いつも頭のどこかにある。
一歩も外へ出ずに、食べ物も口にせず、普段の一割くらいの本数の煙草と何杯かのコーヒーと、そしてロックで過ごした日であった。こういう日を長いこと欲していたような気もする。うるさい音が静かな心境を運んできてくれたのだと思う。
プログレッシブ・ロックとパンク・ロックは対立項として捉えられることも多く、その理由のいくつかには納得がゆく。片や形而上的な領域にまで踏み込むかのような芸術と技術の極限、もう片方は既存の社会の拒否を怒鳴り散らす頽廃。訴えかけるものの違いは音そのものの違いやミュージシャンの服装の違いにも表現されている。プログレッシブ・ロックのような、才能と環境に恵まれた者にしか為し得ない音楽を拒否するところにパンク・ロックが一端を発しているという歴史的経緯からしても、対立の構図になることは理解しやすい。
しかしながら実際には、上に挙げたような名だたるミュージシャン達はその構図の枠に収まるほど単純ではなく、殆どの部分ははみ出しているし、対立すると言われてはいても接点がたくさんあるように見える。例えばキング・クリムゾンの代表曲の一つ、『21世紀の精神異常者』はいつ聴いても斬新な曲に乗せて現実に社会で起き続ける暴虐と搾取への絶望を歌っているし、クラッシュは常に社会的なメッセージの発信を継続しながらその音楽性を高度なものに発展させていった。現代においてはロック・ミュージックの範囲がきわめて広いものになっている。開拓したのは彼ら先人たちである。今や「ロック」という単語自体、気骨があるとか新しいとか、あるいは単に馬鹿であるとか、その他あまりにも多くの意味を包含するものになっている。
子どもの頃は居場所に飢えていた。家庭や学校の中に居場所を探していた私に、在るべき場所はその二つに限らないことを教えてくれたのはロック・ミュージックだった。有形無形さまざまへの恐怖に駆られていた時、それを言葉にしてくれたのも、ドライに相対化してくれたのも、問題にすらならないものにしてくれたのもロックだった。死ぬことをよく考えていた頃に、ひとまず生きるという選択肢へ向ける目を開けてくれたのもロックだった。
私はミュージシャンになりたいと思ったことはないが、ロックへの志向は多分いつも頭のどこかにある。
一歩も外へ出ずに、食べ物も口にせず、普段の一割くらいの本数の煙草と何杯かのコーヒーと、そしてロックで過ごした日であった。こういう日を長いこと欲していたような気もする。うるさい音が静かな心境を運んできてくれたのだと思う。
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