風まかせ さんの日記
2020
1月
4
(土)
20:32
本文
清少納言の『枕草子』の第二段には、平安時代の正月風景が描かれている。
正月一日は「空の様子も、人の衣装や化粧も、ふだんとは様子がちがい改まった感じがして、明るく快い」。清少納言はこう記している。新年を迎えて新たな気持ちになることを鋭敏にとらえている一節である。
七日は「雪間の若菜摘み」を取りあげている。「若菜は」は早春の野に芽を出しはじめた食用の若草のこと。これを摘んで食べると邪気を払うとされ、古くから珍重されていた。この民間習俗が朝廷に取り入れられ、正月の年間行事となる。
もともと中国では、正月七日を人日と称し、この日に七種のあつもの(熱い汁物)を食すれば万病邪気をまぬがれるという風習があり、この慣習が日本へと伝わり、正月の初の子の日(やがて毎年正月の七日となる)の「若菜摘み」の風習と結びついたものと思われる。そしてのちには、民間の七種粥へと受け継がれていった。
この七種の若菜については諸説ある。『源氏物語』の注釈書『河海抄』では「なずな、はこべら、せり、あおな、ごぎょう、すずしろ、ほとけのざ」を挙げているが、一般には短歌形式にして「せりなずな ごぎょうはこべら ほとけのざ すずなすずしろ これぞ七種」と記憶されている。
正月十五日。この日は望粥の節供の祝膳がある。望粥(小豆粥)を煮た焚き木を削って杖を作り、この杖で女性のお尻を打てば、子どもが生まれるという俗説があった。
粥の木を隠し持って、女性たちの隙をうかがう者。その杖で打たれまいと、用心する女性たち。誰かがうまく打ちあてると、打たれた人はくやしがり、まわりのみんなはおもしろがって笑う。「粥杖」の明るい光景が活写されている『枕草子』の描写は、かなり楽しめる。
また、結婚して間もない女君(女主人)に、女房(その家に仕える女官)がそ知らぬふりをして近づき、走り寄って粥杖で打っては逃げる。その様子に、まわりの女房はみな笑い、婿君もにっこりほほえんでいるが、当の女君はただほんのり顔を赤らめて座っているさまが初々しいと記している場面も、伸びやかで明るい。
当時の女房たちにとって、この「粥杖」の風習は、正月の楽しい遊びでもあったのだろう。
現代ではこのような正月の行事もすたれつつあるが、もう一度見直してみると季節の新しい発見があるだろう。一年の健康と無事を願い、正月の遊びを楽しみ、気持ちも新たに一年をはじめたい。
正月一日は「空の様子も、人の衣装や化粧も、ふだんとは様子がちがい改まった感じがして、明るく快い」。清少納言はこう記している。新年を迎えて新たな気持ちになることを鋭敏にとらえている一節である。
七日は「雪間の若菜摘み」を取りあげている。「若菜は」は早春の野に芽を出しはじめた食用の若草のこと。これを摘んで食べると邪気を払うとされ、古くから珍重されていた。この民間習俗が朝廷に取り入れられ、正月の年間行事となる。
もともと中国では、正月七日を人日と称し、この日に七種のあつもの(熱い汁物)を食すれば万病邪気をまぬがれるという風習があり、この慣習が日本へと伝わり、正月の初の子の日(やがて毎年正月の七日となる)の「若菜摘み」の風習と結びついたものと思われる。そしてのちには、民間の七種粥へと受け継がれていった。
この七種の若菜については諸説ある。『源氏物語』の注釈書『河海抄』では「なずな、はこべら、せり、あおな、ごぎょう、すずしろ、ほとけのざ」を挙げているが、一般には短歌形式にして「せりなずな ごぎょうはこべら ほとけのざ すずなすずしろ これぞ七種」と記憶されている。
正月十五日。この日は望粥の節供の祝膳がある。望粥(小豆粥)を煮た焚き木を削って杖を作り、この杖で女性のお尻を打てば、子どもが生まれるという俗説があった。
粥の木を隠し持って、女性たちの隙をうかがう者。その杖で打たれまいと、用心する女性たち。誰かがうまく打ちあてると、打たれた人はくやしがり、まわりのみんなはおもしろがって笑う。「粥杖」の明るい光景が活写されている『枕草子』の描写は、かなり楽しめる。
また、結婚して間もない女君(女主人)に、女房(その家に仕える女官)がそ知らぬふりをして近づき、走り寄って粥杖で打っては逃げる。その様子に、まわりの女房はみな笑い、婿君もにっこりほほえんでいるが、当の女君はただほんのり顔を赤らめて座っているさまが初々しいと記している場面も、伸びやかで明るい。
当時の女房たちにとって、この「粥杖」の風習は、正月の楽しい遊びでもあったのだろう。
現代ではこのような正月の行事もすたれつつあるが、もう一度見直してみると季節の新しい発見があるだろう。一年の健康と無事を願い、正月の遊びを楽しみ、気持ちも新たに一年をはじめたい。
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