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かれこれ、9年くらい前のこと。

私はいつものように、通勤電車に
乗っていました。

その日は、やけに混んでいた。

2駅ほど過ぎたころ、
ナーントなく、ぷ〜んと私の
鼻が反応したのです。

因みに、私は家内から
「イヌか」と言われるほど
匂いには敏感なんです。

やがて、わけのわからない
ぷ〜んから、あるものを
確信させるニオイに・・・

そう、落語のネタにある
テン シキ＝おならさん
だったのです。

それも、下からジワジワ
こみ上げるような感じで、思わず
周りを見渡したものの、
みんな、平然としています。

女性には失礼なことかも知れませんが、
こんな場合の犯人は、大抵が
女性の場合が多いです。

で、ぐるっと見渡したところ

「あっ、コイツや！」とおぼしき
容疑者を見つけたのです。

まず、私の鼻に狂いはありません。

しかし、
その容疑者は、そしらん顔して
顔色ひとつ変えません。

さすが、
敵はさるもの、ひっかくもの。

そのうち、意識も、もうろうとなり
必死でつり革につかまるのが
やっとの状態。

これほど、殺人的毒ガスをかまされたにも
関わらず、周りの人たちもみな一様に
気づかぬふりをしています。

「えっ、もしかして、
これは、自分の妄想？

それとも、ただ単に疲れてるだけ？」

と、一瞬、自分の鼻をも疑うありさまと
なりました。

ですが、これは現実だったのです。

なぜなら、
私の隣にいた男性が、ホント小さな声で

「たまらんなぁ」と言ったのです。

お願いだから、

「ウンコしてから、電車に
乗って〜」

有難うございました。




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