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サエコさんは僕と龍二の顔を見ると、屈託のない笑顔でこちらにやってきた。
「久し振り～元気だった？心配していたんだよ」
「いや、こっちの台詞だし」
「色々と忙しくてね」
「そう言えば〇〇（僕の名前）、ペンダントと手紙ありがとうね。嬉しかったよ」

告白の返事は貰えなかったし、聞くこともしなかった。

それから他愛もない会話を少しすると、次から次へとサエコさん目当てにお酌に来るので、龍二とその席を移った。
それからは、知らない人達と色んな話しで盛り上がっていた。
最後にみんなで写真を撮って、
「じゃあ元気でね」
「サエコさんも」
握手をしてその場を後にした。
それが最後となった。

これが僕のファーストキスの思い出だ。

それから数年後の事、関東の学校に進学してたまに帰省した際に、必ず龍二達と飲むのだが、いつだったかサエコさんの話になり、思い出話に花を咲かせていると、おもむろに龍二の口から

「いや～、本当の事を言うけど…怒るなよ？実はあの一件の数日後、サエコさんに呼ばれてアパートに行って…しちゃった。」
「へっ！？本当に！？嘘だろ！？」
「悪いと思って今まで言えなかった。ごめん！」

それを聞いていた英夫が
「あ～！俺もサエコさんが帰ってきて、偶然に夕雁で会った時に、呼ばれて…したよ。笑」
「・・・・」

二人はその時の状況を赤裸々に話し出し、聞きながらサエコさんの顔を思い浮かべていた。

年月も経っているので、特に傷心と言う事はないが、ほとほと自分のモテなさに落胆した。

童顔だった自分は、サエコさんにとって弟のような存在だったのだろう。

皆さんのファーストキスの思い出はどうでしたか？
良ければ思い出してみませんか？

https://www.dailymotion.com/video/xoklh2
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この曲を聴くとサエコさんを思い出す。
当時、夕雁では有線放送を掛けていて、店内にあった赤い公衆電話から度々リクエストをしていた。
その曲が「ゆうこ」by故　村下孝蔵

またまたお付き合い下さり、ありがとうございました。