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風まかせ さんの日記
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風まかせ さんの日記

 
2018
12月 9
(日)
08:42
カニのような女
本文
女と食べものが書けたら小説は成功だ、という話を何かで読んだが、志賀直哉の『暗夜行路』の一節に、女のことを形容して、たしか、

どこか遠い北の海でとれたカニを思わせるようなところがあった、とあったことをおぼえている。

これを読んだのはたしか中学生の時で、カニのような女とはどんな女なのだろうかと考えたが、まったく手がかりがなかった。

中学生ながらも、その描写のうしろには、ほめているだろうという気配だけは感じたので、遠い北の海でとれたカニは、いったいどんな味がするのだろうと考えたり、

それに、そんな味のする女とはどんなことなのだろうかと考えたりして、ずいぶんと迷ったものである。

食べるものといったら、お煎餅や落花生ぐらいなものだし、「オンナ」となると、やかましい母親と姉が女であるとわかっているくらいで、子沢山で、子を背負って家事に髪振り乱している母に、

「かあさん、遠い北の海でとれたカニを思わせるようなところがある女って、どんな女なの?」などと、とても聞けたものではなく、

かといって、カタブツの父には、女の「オ」の字も切り出せるような空気ではとてもないので、志賀直哉の比喩は「カニ」と「女」に分解したままただよいつづけた。

大人になってから、ある冬の日、窓ガラスを叩き割りそうな日本海の風を聞きながら、岬の漁師宿で、とれたての松葉ガニを食べたことがある。

赤い足をパチンと割ると、なかから身が出てきて、白く豊満で、身をひとくち頬張ると、甘く上品な芳醇が、冷たい日本海の果汁が、口いっぱいにひろがり、滋味は滋味として賞味しながらも、

志賀直哉の比喩を思い出し、どこかで直感は、こうだろうか、いやそうではない、とつぶやきつづけ、答えをもたないまま、カニを食べるのは手がかかるものだから、志賀直哉の比喩とは別に、トルストイの言葉を思い出した。

女――それは男の活動にとって、大きなつまずきの石である。
女に恋しながら何かをするということは困難である。

つまり、カニを食べながら難解な比喩を考察するということは困難である、ことがわかった。



雪の海底紅花積り蟹となるや  金子兜太

作者は「海底」を「うみそこ」と読ませている。
その作者は自ら、つぎのように註釈している。
「北陸海岸の宿に泊まって、蟹を食べた。夕方からまた雪がきて、私は雪降りそそぐ日本海の蒼暗を思いやっていた。すると、その昔、奥羽の地に花開いた紅花(べにばな)を積んで、木造船がこの海原を走っていたことを思い出したのである。紅花は船からこぼれ、海底に積もり、やがて蟹になった。いや、そうにちがいない、とまで思いつつ」

なんとはなしに、「カニのような女」の手がかりが香ってくるように思った。
閲覧(101)
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投稿者 スレッド
風まかせ
投稿日時: 2018/12/9 16:46  更新日時: 2018/12/9 16:46
プラチナ
登録日: 2018/7/11
居住地: 東京都
: 男性
投稿数: 333
 RE: カニのような女
こんにちは おらこさん
コメントをありがとうございます。

女に恋しながら何かをするということは困難であるといいますが、母を見ていうると、洗濯機を回しながら料理をし、同事に、子を叱るというマルチぶりで、女性にトルストイの警句は、当てはまらないように思います。

男の父は、新聞を読んでいるときに話しかけても、返事がかえったきたこことはなかったように思います。

もし男だけの地球であったら、とっくに滅んでいたでしょう。
神に感謝します。
風まかせ
投稿日時: 2018/12/9 16:35  更新日時: 2018/12/9 16:35
プラチナ
登録日: 2018/7/11
居住地: 東京都
: 男性
投稿数: 333
 RE: カニのような女
こんにちは ミカママさん
コメントをありがとうございます。

読書歴を考えると、姉からは推理小説のおもしろさをおそわったように思います。
純文学的なものは、父の書棚から抜き出してよく読んだように思います。

壮大な美しさをもつ俳句ですね。
この句には不思議な魅力があり、心揺れるのと同時に、作者の感性に嫉妬を感じるほど、美しい表現で、俳句も文学であると感じます。
風まかせ
投稿日時: 2018/12/9 16:24  更新日時: 2018/12/9 16:24
プラチナ
登録日: 2018/7/11
居住地: 東京都
: 男性
投稿数: 333
 RE: カニのような女
こんにちは 晴之さん
コメントをありがとうございます。

かにには、あの無骨な殻がるので、「カニのような女」というのではないかと、戯言を考えたりします。

おっしゃるように、「殻は殻なりに頑張って身をつけようとしているのを見ると、心が和む」ので、やはり、カニのような女を思うのでしょうか。
orako
投稿日時: 2018/12/9 14:43  更新日時: 2018/12/9 14:43
プラチナ
登録日: 2017/1/17
居住地: 岡山県
: 女性
投稿数: 1694
 RE: カニのような女
こんにちは

とってもとっても面白いおはなしでした。
蟹のような女を巡って、中学生の風さんの興味はもんもんとし、、、、、、。
髪振り乱して子育てをする母、堅物の父、、、、
聞いたらどの様に答えられたか、すごく気になります。

「女――それは男の活動にとって、大きなつまずきの石である。
女に恋しながら何かをするということは困難である。
つまり、カニを食べながら難解な比喩を考察するということは困難である、ことがわかった。」
ここ、すごく好きです。

結局、「カニの様な女」とは、それ以外のことは見えなくなるくらい、夢中にさせる女ということではないでしょうか。


「降り積もった紅花がカニになった。」
女とはそれ程美しく華やかなものなのでしょう。
私には縁のない比喩ですが
ミカママ
投稿日時: 2018/12/9 12:18  更新日時: 2018/12/9 12:18
登録日: 2014/4/25
居住地: 東京都
: 女性
投稿数: 11265
 RE: カニのような女
こんにちは。

中学生で、志賀直哉とは、随分文学少年だったのですね。
私なりに「カニのような女」を考察してみました。
横ばいしかできない頑固な女と、直感的に思いましたが、良い意味ではないですね。

風さんの子供時代を知る手がかりが掴めた貴重なブログです。
読書家は、お姉さまの影響ですか?

実は、私と姉は甲殻類アレルギーで、食べると胃がモヤモヤし、唇が腫れあがります。
姉は絶対食べようとしませんが、私は大の海老カニ好きです。
食いしん坊なのか、アレルギーをものともせず、食べてしまいます。

北陸で獲れるカニは、さぞ美味しいのだろうと、風さんの絶妙な食べログに、涎が出そうになりました。

紅花が船底に溜まり、海に落ちてカニになった。なんと美しい表現でしょうか。
日曜日に良いブログをありがとうございます。
晴之
投稿日時: 2018/12/9 9:06  更新日時: 2018/12/9 9:06
ブロンズ
登録日: 2018/12/2
居住地: 福岡県
: 男性
投稿数: 41
 RE: カニのような女
味わい深いエッセイでした。うちにはもはや殻しか残っていませんが、時折中身の詰まったカニを見ると、はっとしてしまいます。でも、殻は殻なりに頑張って身をつけようとしているのを見ると、心が和みます。そんな自分は、殻さえも見栄えがわるくなりました。

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