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風まかせ さんの日記
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風まかせ さんの日記

 
2018
11月 11
(日)
08:30
小泉八雲の好きなもの(1/2)
本文
松江は水と雲が美しい。
松江大橋の欄干に背をたれて、宍道湖と周辺に広がる町並みを眺めている。

水は薄水色の静寂さをたたえ、雲は神話のような無辺のスケールで包容力をなびかせる。

この水と雲が手をとり合って、町並みも山々も、すべて淡い乳白色で包まれる。まるで巨大な墨絵のなかにいるようである。

 「からからと下駄の音が漸時高く響いてくる。大橋の上でなる下駄の音はどうしても忘れられない」

橋の上で日本人が気にもとめなかった下駄の音にしんみりと聞き入ったのは、小泉八雲であった。

本名ラフカディオ・ハーン、40歳の秋のことである。八雲は、なぜこの松江の町を好んだのだろう。


松江の町は、宍道湖から中海に注ぐ大橋川で南北に二分される。南は松江駅を囲むように商店街と寺々が並び、北は松江城を中心に官庁街や武家屋敷が続き、この二つの街は四つの橋で結ばれる。

東から、「くにびき大橋」「松江新大橋」「松江大橋」「宍道湖大橋」と、みんな「大」きな橋である。なかでも松江大橋はもっとも古くからある橋である。

橋のなかほどに、「張り出し」が設けられ、西に横たわる宍道湖、北に広がる町並みが眺められる。かつてこの橋はすべて木造であった。

大正4年の夏、この町を訪れた芥川龍之介は「自分の心を惹いたものは」河の水と木造の橋で、「醜い鉄橋」ではなく「愛す可き木造の橋梁」であるので「うれしく思う」と『松江印象記』に書き残している。


湖上の雲は自由奔放、ふくよかなフォルムを競い合い、湖上はやわらかいきらめきでこれに応える。

白壁の家々の影が水面に浮かび、水に映る木々がちいさく揺れている。目にするもの一つひとつに心なごむ情緒が封じ込められ、雑事を放り出し、ふたりだけでこの地で静かにつつましく暮らしたくなってくる。
 
小泉八雲も雑事を放り出し、松江にやってきた。松江大橋に近い宿に旅装を解き、のちに旧松江藩士の娘、小泉セツ(節子)と結ばれ、中学校の教師として城の近くに住んだ。

セツも『思い出の記』の中で、八雲が遠い外国からなぜ松江に来たのだろうと、不思議がる。

セツが聞くと「ヘルン(セツは八雲をこう呼んでいた。これは教師になる契約時、ハーンが誤ってヘルンと伝わったからだという)は辺鄙なところほど好き」で「出雲が日本でごく古い国で、いろいろ神代の面影残っている」から松江を選んだという。

これにセツは少々不満であった。当時松江の周辺はなにもない山また山で、「松江に参りますと、いきなり綺麗な市街となりますにで、旅人には皆眼のさめるように驚かれるのです」と、セツは子どものように松江の自慢をする。

八雲の胸に響いた下駄の音は、遠い明治の松江の表情だが、このなつかしい情緒を求めて、松江の町を歩く。


欄干の葱の花のような擬宝珠を数えながら松江大橋を渡ると、対岸には白壁の土蔵が散らばる家並みが広がる。これを抜けると、かつての外堀であった京橋川にあたる。

ちいさな橋を越えると、官庁やデパートなどの高い建物が林立する。さらに進むと、深緑の鬱蒼とした木々をしたがえた松江城が見えてくる。

松江城は千鳥城とかわいらしい名でも呼ばれるが、石垣はふぞろいの石を無造作に積んだもので、城の外壁には、城を優雅にみせる城壁は少なく、大半は分厚い黒板で覆われている。

いかにも無骨で剛直である。この城にはかつて「名君」がいた。

小泉セツはハーンにこう説明した。「(徳川)家康公の血を引いた直政という方が参られまして、その何代目かに不昧(ふまい)公という殿様がありました。

そのために家中の好みが辺鄙に似合わず、風流になったと申します」。

不昧公は七代藩主で松平治郷(はるさと)といい、「不昧」は号である。不昧は、治水や公費の節約、商業の発展などに尽くし、藩の財政を立て直した名君として知られる。

また茶の湯を好み「不昧派」と呼ばれる流派をおこし『古今名物類聚』という名物茶器の研究書も残している。
(あしたにつづく)

(これは、ある媒体に掲載されたものをまとめなおしたものです)
閲覧(42)
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投稿者 スレッド
ミカママ
投稿日時: 2018/11/11 20:03  更新日時: 2018/11/11 20:03
登録日: 2014/4/25
居住地: 東京都
: 女性
投稿数: 11098
 RE: 小泉八雲の好きなもの(1/2)
怖い・・・

夢に見そうです泣
風まかせ
投稿日時: 2018/11/11 19:09  更新日時: 2018/11/11 19:09
プラチナ
登録日: 2018/7/11
居住地: 東京都
: 男性
投稿数: 272
 RE: 小泉八雲の好きなもの(1/2)
こんばんは ミカママさん
コメントをありがとうございます。


怪奇というより、あやしく不思議なことがありました。

春の宵、ひとりの若者が放浪にくたびれて故郷(くに)のちいさな町に帰ってきて、ある家の門の前を通りかかると、ひとりの老婆が、柄杓で庭に水を撒いていた。若者が門にもたれて、庭木の葉に水滴がほとばしるのをみとれていると、老婆がよってきて、柄杓の水をさしむけ、一杯いかがと言って若者に飲ませてやる。若者はそれを一気に飲み干し、手で口を拭いていると、老婆は、「干物はうまくないからな」といって、庭に戻っていった。振り返ると、老婆の口から、血の色の涎が滴り落ちていた。

ただこれだけの話ですが、どこで読んだのか、あるいは夢のなかの一場面であったのか、なにも憶えていませんが、老婆の皺の襞に赤色が縦横に走る顔だけは古傷のように、いまでも疼いています。
ミカママ
投稿日時: 2018/11/11 10:26  更新日時: 2018/11/11 10:29
登録日: 2014/4/25
居住地: 東京都
: 女性
投稿数: 11098
 RE: 小泉八雲の好きなもの(1/2)
ごめんなさい。

マウスの調子が悪く、二重投稿になってしまいます。

許してくださいませ。
ミカママ
投稿日時: 2018/11/11 10:26  更新日時: 2018/11/11 10:26
登録日: 2014/4/25
居住地: 東京都
: 女性
投稿数: 11098
 RE: 小泉八雲の好きなもの(1/2)
こんにちは。

小泉八雲の聴いた、橋を渡る下駄の音が聞こえてきそうです。
出雲は歴史ある地。
神々がおわした逸話が、沢山残っていますね。
宍道湖の夕焼けも素晴らしい。

八雲は五感で、松江を体感したのだと思います。
古から伝わる民話・自然の素晴らしさを、スポンジが水を吸収するがごとく、自分のものにしていったに違いありません。

怪奇小説を好んだことでも知られますね。
私は卒論で、雨月物語を選びました。
2/2ブログが楽しみです。

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