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風まかせ さんの日記
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風まかせ さんの日記

 
2018
10月 13
(土)
09:37
小さな恋の物語
本文
知人のところに「居候」している親戚筋のEさんは、遠い南の島で生まれた。

当時島には、高校がなくて、就学する者は隣の島にわたり、Eさんは島の中学を優秀な成績で出て、隣の島の高校に行くのだが、

隣の島の高校にゆくというのは、話を聞くと、明治の若者がフランス留学するほどに知的ではれがましいものであった。

ところがである、Eさんが入学してほどなく、父親が病で亡くなってしまったので、やむなく中退した。

そのことがEさんの唯一の無念で、いまでも、高校の校庭で競技をしている生徒たちを見るのが好きで、悔しさもあるが、自分が幸せの隣りにいるような気になる。


大阪に出て、商店の小僧さんをしながら、定時制高校を出て、自衛隊に入り、いわゆる文武両道だったものだから、上官に幹部に志願せよとすすめられたが、

世の中にはきっともっとおもしろいことがあるにちがいないと思って、自衛隊をやめた。

Eさんは読書家で、それに耳できく言語理解能力もすぐれていたがしかし、訥弁で、自分ではそれを重大なことと思い込んでいたので、

人と交わることを好まず、会社員や商人になるのは、無理であった。


どういったらよいか、Eさんの感情の分量といったものが、人の倍ほどもあった。

それも、やっかいなことに、感情の種類が他者への憐れみという一種類だけなものだから、

たとえば、部下への憐れみが強すぎて、戦国の大将にはなれないと思っていて、自衛隊の幹部のすすめを断ったのも、その流れにあり、つまり損得稼業ができないことになる。

それだけならよいものの、困ったことに、妻子がもてないことになり、

妻子をもつと想像しただけで、憐れみがとめどなくあふれることになり、心を支えきれなくなってしまう。
だから、四十すぎても、いまだに独り身でいることになる。


島で健在にしている母堂も、似たような人であるらしく、島に帰ると、いってみれば「聖人」同士みたいなもので、ぼくのような俗間の者にはとうていうかがえないが、口喧嘩が絶えぬものらしく、母堂はEさんを追っかけまわして、

「いつまでも家を成さんと、のらくらしおって」と、こればかりを投げつける。

「一生で行きたいところがあります」
と、Eさんは知人に言ったことがある。
「ニューヨーク?パリ?ロンドン?」
「いいえ」

しばらくやりとりがあったのち、
Eさんが行きたいこところは、自分が生まれた島の灯台が見える小さな桟橋であることがわかった。


Eさんが中学生時代、島が台風に襲われ、犠牲者が出て、クラスのM子の母も亡くなってしまった。M子は学校に出てこなかった。

しばらくして、EさんはM子の家に行ったが、家にはいなくて、桟橋にいるとのことであった。

M子は桟橋に座って、海をながめていた。
ふしぎなことに、そこだけに光がいっぱい射していて、赤、黄、青のきれいな小鳥が無数に群れ、音楽をきいているようだった。

EさんはM子の隣に座って話しかけた
「どうしたの?」
「気持ちがいいの」

「ここにいてもいい?」
「うん、いて」



閲覧(190)
カテゴリー
投稿者 スレッド
風まかせ
投稿日時: 2018/10/13 18:16  更新日時: 2018/10/13 18:16
プラチナ
登録日: 2018/7/11
居住地: 東京都
: 男性
投稿数: 435
 RE: 小さな恋の物語
こんにちは ミカママさん
コメントをありがとうございます。

恋というものが、手に入っていないものにたいして、近づきたい、得たいと願うことであるとしたら、それを客観的に描いてみたいと思いました。

恋というのは、あくまで願いであって、獲得の満足感ではないでしょう。

であるから、私たちは「恋」という言葉に心の揺れを感じるものと思います。読み手の方々に、そのことを伝えることができたら幸いです。
ミカママ
投稿日時: 2018/10/13 10:35  更新日時: 2018/10/13 10:35
登録日: 2014/4/25
居住地: 東京都
: 女性
投稿数: 11944
 RE: 小さな恋の物語
風さん、こんにちは。

Eさんの初恋に胸打たれました。
何も言わず桟橋に腰かけて、海を眺めている。
都会の世間ずれして可愛げのない若者と違って、瑞々しい感性が二人に残っているように思います。
その後どうなったのかは、敢えて聞きますまい。
Eさんがもし、訥弁でなかったら、自衛隊をトップで駆け上がり、妻子も持たれ幸せな人生を送っていたかもしれません。

でも小さな恋の物語は生まれなかったでしょうね。
Eさんにとって、島は心の拠り所で帰るべき場所なのですね。
例え煩い母親がいたとしても・・・

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